全共闘運動華やかなりしころの、あるセクトが提唱していた戦術論、それが「一点突破・全面展開」です。
若い人はピンと来ないかもしれません。
でも、その時代を知るものは今もこの言葉を使うようです。
私もこの戦術論の有意性を今も実感しております。
この言葉は、もちろん広辞苑などにはのっておりません。
現代用語の基礎知識でも無理でしょう。
現代用語とは言えないかもしれませんからね。
意味はというと、つまり相手が強大な存在であり、こちらが弱者であった場合、正面から立ち向かって行っても勝ち目がない。
そこで、どこか一点に絞ってこちらの戦力を集中して行く。
もちろん、ほとんどの場合、相手の強靱な力に跳ね返され、味方の被害甚大になるだろう。
それでも、それしか方法がないと思って、相手の弱点を探し、その点に向かって全力でぶつかる。
もし、その点が突破された場合、そこでモメンタムが変わるのである。
相手は動揺し、その動揺を突いて全体に向かって総攻撃をかける。
うまくいけば、弱者であっても強者を倒すことができる。
その時のスローガンが「一点突破 全面展開」というわけである。
おなじみ『利家とまつ』でもやっていた織田信長の「桶狭間の戦い」もこのカテゴリーに入るだろう。
日露戦争で日本軍が強国ロシアを倒した課程でも、この「一点突破 全面展開」の局面がみられたのではないだろうか。
さて、何故こんな「一点突破 全面展開」の話を始めたかと言うと、それは近頃大いに盛り上がっている「小泉首相vs抵抗勢力」の戦いを見て思い出したからである。
抵抗勢力の戦術がこれなのだ。一点突破・全面展開。
今回、田中真紀子大臣が更迭された。
これが抵抗勢力の一点突破なのである。
後は全面展開あるのみ。モメンタムは変わった。
蟻の穴から堤も崩れるのだ。
後は押せ押せである。今押さなければ、又モメンタムが変わる。
残念ながらこの場合、小泉首相が今川義元なのである。
おそらく、さしもの小泉城も総崩れであろう。
一点突破された方は、その危うさになかなか気づかないものなのだ。
それゆえに戦術論にまで昇華されたのだ。
すぐにわかるようだと、戦術とは呼べない。
私も、仕事をしながらこの方法論をよく使う。
営業行為でもそうである。
とにかく、相手がこちらの商品を買うためのインセンティブを必死になって探す。
少しでも見つけたら、そこを徹底的に突く。
他のことはあえて言わない。
自分の商品がこんなに優れているなんて言うのは時間の無駄。
相手が反応するところを徹底的に突く。
手ごたえあった時に、初めて商品の全貌を語る。
そうでしょ?
誰だって、商品の説明を長々されるよりも、興味を持てるようなことばかり言うセールスマンの方が好ましいでしょう?
全面展開は後でいいんです。
頭ばかりで仕事している人にはわからないことかもしれませんが。
ところで、小泉首相、この窮地をどう乗り切るつもりなのでしょうか。
まず、今回は抵抗勢力の勝ちです。
小泉さんだけじゃ、もうどうすることもできません。
モメンタムは変わったのです。
後、小泉さんがとれるのは背水の陣しか無さそうな気もしますね。
※モメンタム:勢い、はずみ アメリカン・フットボールでよく使う言葉です。パスをインターセプトしたことによって、モメンタムが変わるなんてことをよく言うのですが、アメフトに興味がなければどうでもいいことかもね。
今年のスーパーボウルはラムズvsペイトリオッツ。負傷復帰した新人QBブレイディがワーナーに勝てるかが見どころ、でもやっぱりラムズだろうなあって、皆さんわからんでしょうね、安部邦雄