外は雨だ。
この何年もずっと降っている気がする。
時々は雲間から陽が射したりすることもあるが、
すぐに又雲におおわれ雨が降り出す。
10年ぐらい前、
確か晴れていた記憶がある。
毎日毎日晴れていて、私も貴方もみんなハッピーだった。
雨が降ること等全く忘れていた。
この幸せはいつまでも続くと思っていた。
今日も外は曇っている。
そして冷たい雨。
私は外に出ようとしてふと気づく。
傘がない。
雨はますます強くなってくる。
外に出ないと、私はこのままでは生きていけないことがわかっている。
お腹だって減っている。
でも、ここには傘がない。
隣に傘を借りにいけば、貸してもいいが、担保は何?と言われる。
担保はない。でも傘を借りたいんだ。
扉はピシャリとしまる。
担保がなければ傘も貸してもらえないのか。
濡れるのを覚悟で外に出る。
そこには傘をささない人は誰もいない。
傘に顔を隠して、黙々と人は歩いている。
傘のない人も一杯いるはず。
そんな人は恥ずかしくて街を歩けないのかもしれない。
子供なら、柳の根方で泣くのかもしれない。
でも大人は歌さえ歌えない。
傘を持って迎えに来る母もいない。
都会では自殺する 大人達が増えている。
涙の様に雨はふりしきる。
この雨は、一体いつまで降り続けるのだろうか。
何か書いてて空しくなった、安部邦雄