ヒット曲の定義って何だと思いますか?
英語で言うと、hit tune かな?
とりあえず、当たっている曲とでも申しましょうか。
昔、「夜のヒットスタジオ」という人気番組がありました。
前田武彦・芳村真理さんの司会。(前田さんは共産党万歳なんて番組で言った為、後、降番したが)
それまで、関西では人気があっても、全国的なヒットがなかったアリスが、この番組で「冬の稲妻」を歌ったら、その次の日からデイリーで5ケタのバックオーダー、なんて話を当時聞いたことがあります。
それからというもの、新人アーチストをこの番組にブッキングするために億の金が乱舞。(そりゃ、アリス効果を見せられりゃ、億の金も惜しくないでしょうねえ)
身の程知らずの放送マンが、その後、金のために人生を狂わされたという例、数知れません。
銀座や赤坂で接待されるぐらいでやめとけばよかったんです。
車もらったり、マンション買ってもらったりするのは、やっぱり後々よくないということでしょうね。
ヒットにつながる番組というと、「ザ・ベストテン」も相当金が乱舞したらしいですが、こちらはかりそめにも「ベスト10」ですから、金だけでブッキングするのは相当大変だったようです。
「今週のスポットライト」なんて、言うならば業界にばらまかれる金の受け皿みたいなものだったようです。
業界残酷物語の話は、現役のプロモーターからよく聞かされました。
こんなことまでして、ヒット曲って作らないとだめなのか、暗澹たる気分になったことを覚えています。
さて話を元に戻します。
ヒット曲というのは、つまり、今当たっている曲ということになります。
ファンのニーズにマッチングした曲ということになります。
大事なのは、ファンのニーズなのです。
決して、曲の質の良し悪しではありません。
ニーズのない曲は、どれだけメロディがきれいでも、どれだけ歌手がうまくても、どれだけプロモーションに金をかけようとも、絶対にヒットしません。
ヒット曲というのは、その時のユーザーが望んでいる気分と対応している曲なのです。
だから、ヒットメーカーというのは、その時のユーザーと「寝る」ことができる人なのだといえましょう。
どんなにブスでも、どんなに客が気持ち悪くても、一緒のベッドで寝ることができる人、その人がその時のヒットメーカーになれるのです。(ただし、客の中には、めちゃ美人も、めちゃカッコイイ人もいるので、マイナスイメージだけでとられても困りますが)
ただし、客のニーズを自分でハンドリングできるなんて思いはじめると、たいていそのヒットメーカーは挫折します。
時代の気分と対応している自分に気づかず(自覚できず)、勝手に自己過信して墓穴を掘るのです。
何しろ、周りはヒットメーカーを狂気のように囃し立てますからね。
これは祭りなのです。ハレの場なのです。
大衆の気分が長続きするわけないじゃないですか。
今、ヒット曲が少ないなあと思うのは、それだけユーザーの気分を先取りできるアーチストが減っているからでしょう。
小室さんとか、つんくさんとか、気分を先取りすることができずに、そろそろそれを追いかけるだけの立場になりつつあるような気がしますね。
と、ここまで書いてて、このテーマ、なかなか面白いなあと思いはじめました。
明日も、この「ヒット曲」について、角度を変えてお話することにしましょう。
何か、文句ございますか?
私も昔はヒットメーカーたらんとしたことあるんですよ、安部邦雄