ヒット曲を主に聞かせるラジオフォーマットをTOP40という。
40というのはとても示唆的だ。
テンポラリーには40曲ぐらいが、大体ヒット曲といえるのかもしれない。
ラジオ的には、これぐらいの曲をローテーションさせていると、コンテンポラリーヒット・ステーションのイメージが醸成されるようだ。
ま、このあたりの話は、又別の機会にすることにして。
ヒット曲にも色んな種類がある。
ミリオンヒッツというのは、文字どおり100万枚クラスのヒット曲。
ビッグヒッツというのは、まあ20万枚以上ぐらいのヒットか。
スマッシュヒットとなると、2万?3万枚ぐらいのヒットかな。
他にも、中ヒットなんて言い方もあるが、ま、これは10万枚前後といったところか。
ところで、私はヒット曲かどうかを決める要素に、シングルの売上げ枚数を使ったわけだが、これ以外にヒット曲を決める要素というのが他にあるだろうか。
オンエアー回数がどれだけ多くても、それをヒット曲とはあまり言われない。
例えば、最近「だんご三兄弟」並の人気が予想される「おさかな天国」。
♪さかな、さかな、さかな?、さかなを食べると?
魚売り場でこの曲をかけると、何故かお客さんが一杯集まるという曰く付きの曲。
平成3年(1991年)に、全漁連中央シーフードセンターがPR用に制作したという。
私が知ったのは、大阪朝日放送の「探偵ナイトスクープ」で取り上げていたのを見た時。
平成10年(1998年)放送の由。
これと前後して、全漁連中央シーフードセンターが自主制作という形でCDを販売。
放送後、通販で100枚も売れたんだとか。
ますます、同曲は全国のスーパーでエンドレス演奏が始まった。
それから、4年後、ワイドショーや東京スポーツ(なんで?)でも大々的にとりあげられ、いよいよメジャーで発売が決定した。
凄い話だ。作詞者も作曲者も全然忘れていたという曲が、11年も経ってから、ヒット曲にノミネートされかかっている。
少し長い話になった。
つまり、この11年の間、「おさかな天国」はヒット曲ではなかったのか?
♪あたま、あたま、あたま? 頭がよくなる?
幼稚園児は誰でもがこの曲を歌えるそうだ。
でも、ヒット曲とは認定されない。
何故か?
メジャーからレコードとして売り出されていないからとしかいいようがない。
これもヒット曲の定義が耐用年数を過ぎかけているということではないだろうか。
少し前までは、メジャーのレコード会社からリリースされ、それをユーザーが買うという構造の中から、ヒット曲が生まれていた。
メジャー・レコードの売上枚数とヒット曲の間に強い相関関係があったということだ。
今は、必ずしもそうではなくなっているのではないか。
例えば、GLAYにしても、鬼束にしても、小柳にしても、新曲としてチャートにのぼっている曲なんて、断片でしか私は知らない。
あれをヒット曲と呼ぶなら、少なくとも私の知っているヒット曲ではない。
少なくとも、音楽ユーザーの3分の1が題名を言えるようでなければ、ヒット曲とは言えない。
その意味で言えば、最近の日本の音楽シーンでは、ヒット曲と呼べるものなぞ、数えるほどしかないというのが本当のところではないだろうか。
ヒットの根拠はレコードの売上枚数。
しかし、売上枚数が多いからといって、ヒットしているとはいえない。
必要十分条件を満たさないというわけだ。
何故、こうなってしまったのか。
明日は、そのあたりを、誰が読んでも理解できるように語ってみたい。
業界のユーザー無視体質が続く限り、レコード会社の斜陽化は止めることができないだろうなあ、安部邦雄