いきなり脱線気味の話。
インターネットの巨大掲示板「2ch」で、ファイル交換サーバ「ファイルローグ」の停止を音楽業界が仮処分申請をしたということで、大変なレスがついている。
「ファイルローグ」は日本版ナップスターである。
誰かがCDをサーバに登録し、それを別のユーザーがこれを使ってファイル交換している。
早い話、違法コピー。
「これはえらいこっちゃ」と業界が仮処分申請した、というわけだ。
WinMXというマイクロソフトが始めた交換ソフトも一般化しつつある。
著作権違反だと、ますます音楽業界がいきり立ちそうな気配である。
で、「2ch」で書かれている内容なのだが、ほとんどがファイル交換して何が悪い、という主張なのだ。
本当にいい曲ならCDを買う。
とりあえず、ダウンロードして試してからで何が悪いというのが多い。
違法にコピーしているなんて思っていない。むしろ、ラジオをエアチェックしているというのに近い。
ラジオをエアチェックしたら違法か?
CDをコピーしたら違法か?
大体、CD自体が高すぎるのだ。
ヒット曲だって、出せば直ぐに売れそうな、単なる消費材としか考えられていないではないか。
音楽業界が間違っているのだ。
ファイル交換ソフトは新しい技術なのだ。
それをどう使うかが、これからの業界の考えることではないのか。
教条的な著作権法違反による取り締まりなんかやるんじゃねえよ、彼等の結論は概ねこんなところであろう。
一理あるような、ないような。
音楽が消費材にすぎないなら、こういう扱いを受けても仕方がないような気もするのだが、どうだろう。
音楽が貴重な財産(芸術作品)であるとしたら、その尊厳が失われるようなことから、私達は作品を断固守らないといけない。
著作権者の意志に反するようなことを勝手にするんじゃねえ。
しかし、これで金もうけしか考えていないような連中とか、あるいはその時楽しけれりゃそれでいいというような曲は、まあ、皆さんがおっしゃるような扱いを受けても仕方がないような気もする。
ま、しかし、今はまだ過渡期なので、私としてはあえて最終的な結論は保留しておきたい。
技術革新は、いいとか悪いとかの問題ではなく、それが便利だと思えば勝手に普及する性質のものだと私は思う。(原子力発電なんかその一つと理解している。)
さて、ヒット曲の話。
今の音楽業界は、先ほども触れたように、単なる消費材、すなわち、賞味期限が限定された、その時に旬であればそれでいいような音楽ばかりをヒット曲として量産しようとしすぎているきらいがある。
女の子にファッションを売るようなものなのである。
今年の春のトレンドはこれ、夏はこれ、秋はこれ、という風に。
ユーザーは、そんなものかと争ったように新作を買いに走る。
大ヒット!ミリオンヒット!日本全国、話題沸騰!
しかし、この構造でレコードを売るのが正しいのか?
だから、しばらくしたら、すぐに古くなるし、前の曲は簡単に忘れ去られるのではないのか?
アーチストだって、そうだろう。
え?あなたまだあんなアーチストのレコード持ってるの?
ダサイわね?。
だから、みんなから古いと言われないように、必死になってトレンドについていく。
それが、今のヒット曲市場ではなかろうか?
だから、興味のない人間には、何がヒットしているのか全くわからない。
サブカルチャーに留まり、ほとんどカルチャーまで進化しない。
それでも、業界はこれをヒット曲と呼ぶ。
単なる、今シーズンのトレンドにすぎない音楽をだ。
そりゃ、携帯電話に金使いすぎて、CDの売り上げが落ちるんだと言うはずだわ。
ついでに言うと、ファッションに金かけるか、音楽に金かけるかの選択もあるのではないか。
ファッションに使えば、CDに金はかけられない。売り上げ減るのは当たり前。
何か、こう考えると、音楽業界の今の主張、全く的外れのような気がするのだが。
敵は違法コピーじゃないと思うよ。
もちろん、違法コピーが音楽文化を破壊しかねないのも事実ではあるんだがね。
う?ん、ヒット曲って本当に何だろうなあ。
つまり、ヒット曲の定義って、少なくとも日本では考え直さないと、音楽文化なんて育たないかもしれないのでは、安部邦雄