これから日本はどうなるのだろう?
おそらくこうなるでしょう、という漠然とした予測も軽々には言えなくなったような気がする。
ある会社の社長が、バブルがはじけてしばらく経った頃こんなことを言っていた。
おそらく来年には景気は持ち直すだろう。
悪いものが全部出れば、そこから良いものがどんどん伸びて来る。
もう少しの辛抱だ。
私は半信半疑でそれを聞いていた。
そんな簡単なことだろうか?
それでも、当時の経済通はおそらく大多数がそう思っていたのではないだろうか。
政府もそう思っていただろうし、どこの経営者もそう思っていた節がある。
だから、なりゆきまかせで事態を放置していた。
結果、悪いものは全部出ることもなく、更に地下深く根を張っていった。
今さら、摘出できないほど、社会に根を広げた悪の塊。
すべて掘り返すしか方法がない。
でも、そうするとあちらこちらで、土地が穴ぼこだらけになるだろう。
そんなことになっても良いのか?
今、政治にその決断が問われているといえる。
小泉首相がどんな決断を下すのか?
近頃、ちょっと危なっかしい。
返り血浴びる覚悟、サンドバックになる覚悟、自分が最終的に倒れるのも覚悟、とにかく普通に決断するだけではもはやどうすることもできないような気がする。
何もしないまま、首相官邸で時間をやりすごしているのではないか?
ただ嵐が過ぎ去るのを、身を縮めて待っているだけなのではないか?
もう、それじゃ絶対にダメだ。
早く決断を、早くお覚悟を。
近頃、霞ヶ関関連の仕事を始めた為か、従来型の政治が合理的な国家予算の分配を阻んでいる構造が良く見える。
これじゃ、日本はアメリカに勝てない。
日本の大企業なんて、もう新しい産業を創成することなどできそうにない。
にもかかわらず、国の予算は彼等の無駄な事業に投資される。
何百億の金が、研究という名目で使われ、実用化されることもなくどこかへ消えて行く。
誰も責任は問われない。
しかも、予算を使ったということが実績となり、今年も又それと同額の要求が大企業からなされる。
何百億と言う金が彼等の研究に再び投下され、そして同じように何も実用化されないまま、国の金だけがどこかへ消えて行く。
おかしい、と当事者達は心の片隅で思っている。
でも、自分からは変えられない。
下手すると、損するのは自分だからだ。
今まで通りにやっていれば、それで責任を問われることもない。
新しいことをやって、損するのは自分だ。
日本はマイナス査定が基本である。
無理して新規事業を起こして、結局責任だけとらされるなんてバカなことはしたくない。
新規事業のインセンティブなんて、ほとんどないとしか思えない。
マイナス査定の馬鹿馬鹿しさ。
わかっちゃいるけど、やめられない、か。
大企業を根こそぎ解体するところから始めないと、結局日本はアメリカの新興勢力には勝てないかもね、なんてたってインセンティブが違い過ぎるもの、安部邦雄