インターネット感性論〜重いか、軽いか〜
今回はインターネット感性論「重いか、軽いか」である。
ややエキセントリックな表現もあるが御容赦を。
いきなり私の極論をば。
IT革命の結果として、壮大な意味の喪失が起こる。
意味ばかり追求してきた人間社会に、意味無し族が跋扈し始める。(意味なーいじゃーん)
それはマルクスの予言のごとく「妖怪が街をうろつき始める、インターネットという妖怪が」なんてことになるかも。
パラドックス、合理性が合理性を否定する
IT革命によって、もたらされるのは業務の効率化である。
言い換えれば合理化。
アナログな業務がデジタル化されることによって、大量にすばやく処理できるようになる。それが当たり前になるとどうなるかということである。
合理的であればあるほど、意味のないものが流行し始める。
そして意味のないものが合理性を否定し始める。
言い換えれば意味のない時代が、IT革命によってもたらされるかもしれないのだ。
ITが経済や政治用語として使われている間はまだ幸せということかもしれない。
インターネット感性論
さて、思いつき的な戯れ言はこれぐらいにして、本題の「重い、軽い」論。
インターネットの世界では如何に軽いかが価値観となる。
軽ければインターネットに乗りやすい。重ければコンフリクトを起しやすい。
だから、テクノロジーはどんどんコンテンツを軽くするだろう。
その一つが圧縮技術である。
コンテンツは更に軽く
音楽を配信する時、当然コンテンツを圧縮しなければ、ダウンロードなんて重くって仕方がない。
普通3分の音楽は30MB程のファイルになる。MP3を使うと10分の1の3MBになる。
WMPだとその2分の1のファイル容量になると昨年発表されていた。(マイクロソフトさん、その後どうなったのですか?)
そしてカナダのQDXというソフトを使うと、5分の1のファイルになるそうだ。(7/26に発表があった。スゴイ!)
QDXを使うと、1曲のファイル容量は600KBとなる。
64kbpsの通信ラインでも1分そこそこでダウンロード可能になるらしい。
(でも本当かな?アメリカからのヨタ情報この頃多いしなあ。)
ここまで行くと音楽配信は極めてコンビーニエントなものになる。
やっぱり、1曲のダウンロードに10分もかかってはいけない。
コンテンツを軽くすれば需要は地鳴りのように起こってくる。いわゆるニューエコノミーで言う、「収穫爆発の法則」だ。(ナップスターなんかその典型!)
以下の文はソニーの出井さんのインタビューからの引用である。参考程度にどうぞ。
「テレビやビデオなど組み立て加工型のビジネスは、規模が限度を超えると効率が落ちる収穫逓減の 法則が当てはまる。半導体やゲーム機は設備投資や開発費にカネがかかり、量が増えるほど利益が膨らむ収穫逓増のビジネスだ。ネットワークを使ったサイバービジネスは利用者が増えると、2乗、3乗で価値が増殖する収穫爆発の法則だ。携帯電話をただ 同然で配ったり、端末を与えてネット証券がお客を引き込むのはそのためです」
インターネットとのマッチングは軽さ
デジタル化によって、ファイルを如何に軽くするかが今後問われるようになる。インターネットの最適化は軽さが握っているといえる。ライト感覚なんて言葉が言われるが、インターネットではまさにそういった概念がメルクマールとなる。
元々、インターネットに対し軽いとか重いとかいうのは私の感性そのものだった。使い始めた時、「うわー、重いな。もっとサクサクできないの!」と何度も叫んでいた。
ところが、クロック500MHZ以上が当たり前になり、通信インフラにDSLなんか使った日にゃ、軽い、軽い、暫く楽しくって時間を忘れてしまう。(新宿の東京めたりっく通信ショールームでの体験。ちなみに今私が使っているMacはHDD256MB、クロックは100以下だったかな。重いよね。)
軽い、重いの教訓
それから私は、インターネットを見る時、常にこの感性を最優先に使ってみることにした。
ウェブサイトを見る時、ホームページが出るのに時間がかかるサイトは最悪。入り口を何故こんなに重くするのか。
何らかのアンケート。答えにくい設問。サイトを睨んで考えさせるんじゃない!
もっと簡単に操作させろ。
通信インフラも同じ。ISDNでも重すぎる。料金も重すぎる。
マシーンもそう。何故、フリーズする!フリーズする前に警告ぐらい出せ!
このヘルプ機能は何だ!ヘルプ機能を使う為のヘルプが必要なのはどうしてだ!
頭の中にコンフリクトを起すのはみんな重いのだ。
サクサク(この言葉っていつから使うようになったのかな)操作できるのは軽いのだ。
このサクサク感を体験すること、それがIT革命の第一歩ではないのだろうか。
今回は少し観念的過ぎた嫌いがある。次回はサラリーマン社会の「重い、軽い」論の一節を。
00.7.27 Kunio Abe