インターネット音楽配信/ユーザー論
インターネット音楽配信は普及するのか?
東芝が今日から音楽有料配信を開始するという。東芝EMIではない、東芝本体だ。
東芝EMIの音源に加えワーナー・ミュージックの音源も提供するそうである。
EMIとワーナーがAOLに買収されたことと関係があるようだ。
マスコミ(とりわけ新聞)は宇多田の歌が1曲350円で買えるなどと、それが、劇的な変化のように書き立てている。
いよいよ、大手の東芝が乗り出して来た、これからは時代が変わるんだとでも言いたいのかもしれない。
私の答はNOである。新聞は本質を理解していない。(目新しいことではないが。)
2/6の産経新聞の記事がある。
「米のネット音楽配信、有料化で復活の兆し」
今迄無料でやってきたナップスターとかMP3.コムが、著作権の問題で窮地に陥り、有料化路線で音楽業界(レコード会社)と共存共栄の道に転じたとする。
これで、音楽関連のIT企業は復活するであろうというのだ。
その引用。「無料の音楽交換からスタートした米国ネット音楽ビジネスは、新旧業界が有料化に向けて足並みを揃え始めたことで、確固とした地位を確保しそうだ。」
グヌーテラの存在など、ここには全くない。
使い勝手が悪いと言われ、ナップスターと比べて敬遠されがちだったグヌーテラだったが、最新の「hotwired」誌によれば、ベアウェアとかライムワイアというグヌーテラ・クローンが現れたことにより、ずっと使いやすい、安定なファイル交換ソフトになったという。
産経新聞は何も御存知ないようだ。
さて、産経は別のコラムで、日本でも音楽配信が流行する予感がする、という。
ビクターエンタテインメントは音楽配信で会員を募った所、予想を上回る2万人が登録、確かな手ごたえと関係者は言っているらしい。
今は採算はとれていないが、1、2年後には爆発的に普及するに違いない等とも言っている。
で、流行の予感、等と言う見出しになるようだ。
今迄インターネット配信について様々に提言して来た私はとても複雑な気分である。
まず、アメリカのネット配信という表現がまず間違い。
インターネットに国境はない!アメリカも日本もないのだ。
日本が違うといえるのは、アメリカと比べて、インフラが遅れていると言うことだけだ。
前にも書いたが、CATVでネットに繋いでいる友人は、毎晩ナップスターで音源ファイルを死ぬほど集めている。
日本の音楽だって、まだ発売もされていない新曲が無料でダウンロードできる。
日本とアメリカは違うのだという先入観は是非克服してほしい。
次にナップスターが有料になったとしても、無料になれた客はナップスターを使わないだけだということ。
ナップスターも、日本のどこぞのレコード会社のように、1曲350円なんて言うはずはない。
アメリカは日本のようにCDの定価なんかあってないようなものである。
日本のような再販制が異常なのである。
だから、ネットで1曲350円などと機械的に決まるはずはない。
日本は少しも自由競争ではない。アメリカの形式だけまねているだけなのである。 グローバル・スタンダードに照らし合わせて、日本の音楽業界の異常性をもう少し認識してほしい。
アメリカのネット企業の危機は、何も著作権問題なんかに依拠しているわけではない。
単純にITへの投資額が極端に減ったからなのだ。いわゆるネットバブルの崩壊による、音楽配信事業の危機なのだ。
サイトへの広告費も落ちている。そりゃ、無料のサイトで広告費のみに依拠していたら、やばくなるのも当たり前だ。
ナップスターもMP3コムも裁判闘争のための潤沢な費用がなくなったというだけといったら言い過ぎだろうか。
ベルテルスマン社(BMG)との提携も早い話、裁判費用をリストラするための戦略であろう。
これで無料のネット事業社が有料化に変身などというのは浅薄な理屈づけである。
さて、日本。
ビクター関係者の話は情けない限り。
例えば、会員を募ったら2万人、確かな手ごたえ?
これは、トライヤーが2万人来ただけだろう。これがリピーターになる率は一般的にはほぼ1割。たったの2000人。
そして、ロイヤルユーザーだと200人になるはずだ。(勝手な私の理論だが)
ビクターは200人の客で何するつもり?
1、2年で音楽配信は爆発的に普及?でもその普及の仕方は今の音楽業界を根こそぎ破壊するかもしれないよ。
NTTドコモが音楽配信を始めているけど、何度もいうけど、ダサいだけ。1曲いくらなんていう、日本しか通用しない商売の仕方はやめたるべきだ。何故、インターネットの世界にも再販制を持ち込もうとするんだろう。
では、インターネット音楽配信は本当に普及するのか?普及する為にはどうしたらいいのかは、次回にお送りする
例によって、皆さんの御意見、反論などをお待ちしちゃってます。
01.2.16 Kunio Abe
今回の付録は編集後記です。
この原稿を書いた2日前に私達は、三鷹ビジネスプランコンテストで最優秀賞をとりました。
その時の興奮ぶりをお伝えします。手前味噌ですみません。
編集後記
今、私は大変幸せな気分にひたっております。
私達がIT関連情報を交換しながら開発を推進して来た「インターネットを使ったラジオ制作システムDTRPS、及びデータベースmusicpool」のビジネスプランが、2月14日バレンタインデーの日に、第一回三鷹ビジネスプランコンテストの最優秀賞に選ばれたのです。
つまり1等賞です。1着です。グランプリです。
いやあ、とても嬉しい!
バレンタインデーにチョコレートなんてなかなか貰えなくなった私ですが、こんなすばらしい賞をいただけるなんて。
私達のプランがどんなものであったかは、ジャンルが違うのでここには書きませんが、審査委員の方々から、未来への可能性が大きく、今の放送局の構造を変革するツールとしても出色であるといわれたのは、正直とても嬉しかったわけです。
このプラン、まだまだ商品化までには至っておりませんが、今年の10月に東京ビッグサイトや大阪の国際見本市会場に出品できるよう、スタッフ皆で力を注ぐつもりです。
今はただ、私達を応援して下さっている皆さんにありがとうといいたいです。
ありがとう。
いやあ、本当に嬉しい。生まれて初めて。なんて言ったらいいのか、嘘じゃないだろうか、本当に、ええと、ま、いいか、更に頑張ろうっと。