インターネットは無限の闇である。
しかし、その宇宙の中に一つの星を見つけた時、そこから無限の可能性が見えてくる。
配信システムの最適化って何?
前回で、デジタル化できるものは全てインターネットで送れると書いた。
それゆえ、従来のような流通システムは早晩不要になることを示唆した訳だが、今回は新しい流通システム(配信システム)について語ってみよう。
流通システムには2つある。
インターネットによる流通というと概念的には二つある。
一つは通信インフラ。
一つはマーケット(市場)である。
昔風にいうと、生産地と消費地を結ぶ道・・それが通信インフラ。
交易を行う場所(市)・・・マーケット(市場)である。
配信システムを最適化するということは以上の2つが一番機能する方法を開発することである。
通信インフラはブロードバンド化
現在一般に利用可能な通信手段には、ISDN回線、DSL回線、CATV回線、衛星回線等がある。
又、運ぶものがどんどん重くなっている現状では64kbpsのISDN回線では心もとないという状況で、例えば東京めたりっく通信のDSL回線では640kbpsのサービスができると宣伝している。
ISDNの何と10倍である。(但し、DSL回線が常に安定して640kbpsを提供できる保証はない。)
CATVも同等のサービスを始めており、これからのインターネット時代にはISDNでは対応できないといわれ始めている。
ここでのキーワードはブロードバンドである。
回線が太くなれば、当然重いものが運びやすくなる。それゆえ、インターネットはますます、デジタル化されたものをより速くより大量に送ることができるようになる。
音楽や映像は最もインターネットに適応する。
インターネットで最も期待されるコンテンツが音楽や映像だと言われている。デジタル化されてさえいれば、他のメディアよりも遥かに簡便にコンテンツを送ることができる。
残念ながら、今はデジタルコンテンツのマーケットが成立していないが。
ユーザーはおそらく存在する。存在しないのはデジタルコンテンツであり、コンテンツを届けるための処理能力の高い通信インフラである。
それゆえに、音楽や映像のマーケット(市)が成立していないのだ。
デジタル音楽マーケットは存在するか?
音源配信事業の課題はまさしくここにある。
何となくコンテンツもインフラもツールも揃っているようなイメージがあるが、それらは私の言葉でいうなら、まだ最適化されたシステムにまで成長していないのである。
音楽はパッケージ用のコンテンツとして流通しているのであり、それはデジタルの形で収納されているというだけなのだ。
インターネット等と言ってもISDN回線が関の山。1曲ダウンロードするのに10分もかかる。こんな通信インフラなど流通に有効であるはずがない。
そしてコンテンツの出口(受け皿)としてのパソコン。
これはどうみてもAV機器として機能化されてはいない。(AV機能を補助的に付加しているだけ)
デジタル音楽マーケットが活性化する状態でないことは以上のことから明らかであろう。
ほとんどの事業体は成功していない。
既に多くの事業体がこのデジタル音楽マーケットを作ろうとして、多方面のアプローチをかけている。
しかし、そのほとんどがお世辞にも成功しているとはいいがたい。
それゆえ、やや保守的な意見として、インターネットの音楽配信は時期尚早であるとか、成功するはずがないという声が聞こえている。
儲からないからやめろというわけである。では、この考えは正しいか?
ITの世界はドッグ・イヤー
ITの世界はドッグ・イヤー、つまり1年が従来の7年の時間に相当するというのだ。
それゆえ、時期尚早等といって先延ばしすれば、あっという間に状況が追い付いてしまい、環境が整った時には既に自分達が持っていた技術も道具も古くなっているのである。
そんな時から何を始めようというのだろうか。
最適なシステムは何か?過渡的に私達は何をすべきか?
いずれにせよ、今できることは今やることだ。
デジタル音楽マーケットはそう簡単にはできない。ユーザーにとっては少しも魅力的なマーケットではないからだ。
だが、インターネットのユーザーはそこに確実にいる。又、インターネットがインタラクティブなメディアであることに注目すれば、デジタル音楽マーケッgの原型を、今作り始めることができる。
私は、その方法論として「ミュージック・デザイナー」というキャラクターを想定した。
ミュージック・サイトを持ち、メールマガジンを発行しながら、ユーザーを組織化していく。
いわゆるワン・トゥ・ワン・マーケティングである。
マーケティングについては私は単なる素人なのだが、素人なりに次回に触れてみたい。
00.7.2 Kunio Abe
※ミュージックデザイナーとは
コンテンツの収集及びプロモーションを専門的に行うエージェントをミュージック・デザイナーと呼ぶ。ミュージック・ナビゲーター的立場でもある。
音楽をブランド化し、その周りにユーザーを集めるシステムを作り、音源配信事業を行う。
Webの中に独自のページを持ち、ブランドイメージを打ち出すとともに、定期的にメールマガジンを発行することによって、更なるユーザーを獲得する。
イメージとしては、デザイナーに近いと私は思う。