ある人と食事もできるカフェで待ち合わせをしていた。
すると、後から私の横に座った客がとんでもない奴だった。
座ると、いきなり携帯電話でゲームを始めたのだ。
それもやたら大きい音で、音楽を流す。
なんて奴だ、もう少し続けたら一発言ってやらねばと心の中で思った。
そこへ私の客がやってきた。
すんまへんな、遅なりまして。
座るといきなり、電話がかかってくる。
応答する彼。
横で、ドキュン野郎はまだキュルキュルとゲーム音を響かせている。
ねえ、悪いけど今から打ち合わせするから、その音出すのやめてくれない?
丁重に私はそう言った。
いきなり言われたそいつは、一瞬たじろいだ。
少し、後ろに引いたが、それでもゲームをやめようとはしない。
なあ、話の邪魔だからやめてくれと頼んでいるだけど。
おまえなあ、うるさいからやめろとゆうてんねんから、やめたらどないや!
いつのまにか、電話を終えていた私の客がややすごみながらそう言った。
私の客、タイプ的には安岡力也をもう少し恐くした顔をしている。
怒るとなれている私でも恐い。
そんな強面の男に言われて、そのお宅野郎はどぎまぎしているのがわかった。
だが、楽しんでいたゲームを中断されたこともあり、若干切れ気味に反論する。
うるさいって、おまえかて電話しているやないか。
かかってくるからしゃあないやろ、お前のは迷惑やから言うてんのや。やめろというたらやめんかい。
なおも、言い返そうとするオカマ野郎にその隣にいたオッサンも思わず声を出した。
あんたなあ、どう考えても悪いのはあんたやで、せっかく飯食うてるのに、あんたみたいな音出されたら、気になって食われへん。
私の客は、今度は従業員に向かって声を出す。
おい、従業員、おまえらも注意せえよ。
おろおろするだけの従業員。
私のそばに来て、よければ向こうの席に替わりますか?などと小さい声で聞いて来る。
わかったよ、不愉快だ、こんな店はもう出る。
アホンダラ野郎は精一杯そう叫んで、店を出て行った。
ああ、出て行け、出て行け、このチンカスめ!
心の中でそう叫ぶ私。
同時に店の従業員にも憤りがこみあげてくる。
あんな客を大事にしてどうする気だ。
他の客に迷惑をかけているとわかれば、その時に注意するのが常識だろう。
その一人の客に注意できなければ、その周りの多くの客はこの店に二度と来る気はなくなるはず。
そんなことぐらいわかるないのか、客商売をしているくせに。
実に不愉快な経験。
なんて憂鬱な一日だろう。
不愉快な気分をそのまま文章にするのでは、イデーへ昇華するのは無理なようだ、ますますこの欄が日記化するのをいかにとやせん、安部邦雄