夜のウォーキングに出て、何げなく空を見上げると、そこに飛行船が飛んでいた。
昼間の飛行船は新宿上空で見ないことはないが、夜に照明をつけて空を横切る飛行船は日本では初めてだ。
暗い船体に、GOODYEARの黄色い光があざやかというか、正直こんな時間に何で飛んでいるの?と少々いぶかしい思いがした。
何しろ、ここは杉並区のはずれ。
時間も、まもなく10時である。
後で、ネットで調べると、現在日本中をデモ飛行している最中なんだとか。
ふ?ん、だけどイマイチ意味が不明だなあ。
GOODYEAR(アメリカのタイヤメーカー)の飛行船というのは、私が初めてアメリカへ行った時にも見たことがあったのを思い出した。
1978年のことだ。
サンフランシスコの街に食事に出かけ、イリュミネーションがまぶしい夜の街路の上を悠然とGOODYEARの飛行船が飛んでいた。
まるで映画の中の世界だった。
アメリカは違う、と思った一瞬だった。
食事というと、その時に初めて知ったのがカフェテリアである。
適当に料理をチョイスし、最後のところで値段をチェックしてもらい支払う。
料理はあまりうまくはなかったが、そのシステムには感心した。
ここではチップもいらなかった。
それから何年かして、日本にもこのカフェテリア方式が導入された。
なつかしくて、その第1号店とやらに行ったが、その値段にぶったまげた。
アメリカでは4?500円ぐらいだったのに、日本では全部で1000円もした。
当時は、まだ1ドル250円ぐらいの頃。
これじゃ、カフェテリアというのは高級レストラン扱いではないかと思ったものだ。
ついでに言うと、当時はクレジットカードというのもまだあまり普及していなかった。
日本で、わざわざVISAのインターナショナル版を作ってもらったのに(日本の住友VISAカードは国内しか通用しなかった)、結局、空港などでしか使えなかった。
一緒に行った連れが、わざわざアメックスに入ったのに、これもほとんど使えず。
当時は日本には入っていなかった、マスターカードが辛うじて使える店があるくらいだった。
もちろん、東海岸に行けばそうでもなかったんだろう、とは思うが。
東京銀行発行のトラベラーズチェックが一番便利な時代だった。
隔世の感があるなあ。
飛行機は今はなきパンナムのチャーター機。
ボーイング707型機だったと思う。
西海岸7日間ぐらいの旅で、20万円弱だったろうか。
未だに、確認できていないことが一つある。
サンフランシスコで見た「フライングテープ」なるもの。
フィッシャーマンズワーフの空に、凧のように一本の赤いテープがなびていた。
店に入ると、フライングテープという名前で売られていた。
こういうのがアメリカで流行っているんだと思い、帰りにロスの店で買おうとしたが、どこにもそんな商品は置いていなかった。
その後、全くと言っていいほど、そのフライングテープにはお目にかかっていない。
一体あれは何だったのだろうか。
でも、夜に飛行船の黄色い光を見るのは不気味だよ、人をおどかしているだけで好印象な感じはしない、都会の空を飛ばしなよ、夜なんだからさあ、安部邦雄