フォーメーションの話の続きみたいになるが、私が放送局の営業時代に、ちょっとがっかりしたことがある。
お得意等をまわり、よく指摘されることに、「どこそこの局はこんな面白いことを考えているよ。おたくにも、そういうのないの?」というのがある。
これは相手が私を気に入ってくれていて、同じようなものとか、それとは別の面白いプラン持って来たら、考えるよと言ってくれているのである。
で、当時AM局のある局がいつも話題にのぼっていた。
次々に面白い企画を作る体制ができてていて、営業マンはそれを一斉に売るというスタンスだった。
受ける側から見ると、情報が次々に発信されるというプラスイメージがあるようだった。
昨日までの言い方を借りると、この局には社内に販売のフォーメーションが確立していたということである。
私は、ちょっと悔しいなと思い、自分の局もこういう体制ができないものかと営業課会で提案した。
私達の局も組織的に動くスタンスをもつべきではないかと。
すると、当時の営業部長は、にべもなく私の提案をはねつけ、「おれたちも、ちゃんと組織で仕事をしているではないか。何を言っているのだ。」
組織で仕事をするというのは、売る為のフォーメーションを多く持ち、日々それを確認しながら、全社をあげてセールスに取り組もうというつもりだった。
だが、営業部長は、組織を作って営業をしているのは、我が社も同じではないかと答えるのみなのだ。
そんな形式的な組織を言っているのではない。
フォーメーションが中途半端だから、結局個々の営業マンが行き当たりばったりに仕事をしているだけだ。
フォーメーションを確認しあい、それをブラッシュアップしようと言っているのに、そんな作業は鬱陶しいとばかりに相手にされなかった。
組織で仕事をする、組織で戦う、という意味も知らない部隊長に私達は毎日、個々の努力だけを強制されていたのだ。
そして、その時から20年たった今も、彼等はフォーメーション等という鬱陶しい論議は全くしないまま、今迄と同じような営業を毎日続けている。
せめてマーケティングの専門家ぐらい、雇えよと思うのだが、そんな役にも立たない(?)知識はいらんそうだ。
これじゃ、この会社、本当に未来がないと思う。
しかしなあ、こんな欄でぼやいていても始まらないのはわかっているんですけどね。
当時の営業部長に「オレ達もちゃんと組織で仕事をしているではないか。」と言われた時は、心底ショックだった。こんな人の指示に従って仕事をしても、空しいだけだと思ったものだった、安部邦雄