いつの頃か、日本でもテレビ通販番組というものが大流行りになってしまった。
元々はアメリカのCATVあたりで始まった番組スタイルだが、今やローカルではゴールデンに登場しかねない勢いである。
テレビ通販フリークも登場するようになって、どこも売れて売れてしかたがないと言った状況らしい。
その原因は、というと、それだけテレビ局にスポンサーがつかなくなったため。
どうせつかないのなら、少々安くしても通販スポンサーに売った方が得。
なにしろ、60分のコンテンツまで供給してくれるのだ。
制作費もいらないし、一石二鳥というわけだ。
しかしねえ、これって本当は全編広告だろう。
広告の時間規制ってあったはずなのに、もうなし崩しになっているのだろうな。
通販番組は番組であって、広告ではないという扱いなのだろう。
今さらやめろとも言えないし。
私自身は、この手の番組にはあまり興味がない。
通販で商品を買うということはよほどの事がない限りしない。
私は基本的には自分の手でそれを触らない限り、買う気にはなれないタイプのようだ。
買ってから後悔することが大嫌いなのだ。
安いから、買い込むなどということも絶対にしない。
必要な時に必要なものを必要なだけ買う。
そうしないと、購買欲求はとまらなくなる。
人は、とにかくモノを買うのが好きだ。
歯止めがなければ、どこまでも買い続けかねない存在なのである。
狩りの習性なのかもしれない。
自分の判断でモノをゲットすることに快感を持つようだ。
だから、そんな習性が出ないように、私はなるだけ脳でそれをコントロールしている。
結果的に損になるかもしれないというのを、自分の行動の歯止めにしているのだ。
テレビ通販の話に戻る。
見ることはあっても買わないというのは、どうも出演している連中がうさん臭いからである。
どいつもこいつもグルだ、という印象。
サクラばかりの客に、商品にそれほど責任を持っていなさそうなテレビ局。
何が安い!だ、パチパチパチ!だ。
現代版香具師の集まりではないか。
こんなの、本当にオンエアして恥じないものだ。
等と、基本的に否定的な私なのだが、ちょっとだけ好きなのが「ジャパネットたかた」なのである。
このスポンサー、とてもテレビというものを分かっている。
ユーザーの気持ちというのをわかっている。
高田社長は、相当の人物である。
それだけでも、この通販は許せてしまう。
もちろん、変なタレントが出て来て、「ええー!」とか「安?い!」とかいうのは気に入らないし、金利、分割手数料はジャパネット負担というのも、意味不明である。
分割払いしたら、ちゃんと現金払いより高くなっているではないか。
どこが負担しているというのだ。
ま、それでも他所がみんなそうなのだから、誇張宣伝として許そう。
で、このジャパネット、何が魅力かというと、高田社長のキャラクターの魅力なのである。
初めて高田社長をテレビで見た時、この人はどこのタレントさんだろう、と思った。
普通、社長が出るというのは、広告代理店と会社のたいこ持ちどもが、社長をおだてて自分達に利益を持って来ようという手段の一つである。
だから、ほとんどろくでもない広告になる。
イナバ物置なんてその典型だし、京都の岩田呉服店、人形のモリシゲなんてのもあったはず。(最近は、どうなっているのでしょうか、上柴先生?関西のCMにうといもので)
ピップエレキバンの会長なんて、結果的に成功した方だが、元々は代理店のスケベ心から始まったに決っている。
ま、この話は又別の機会に。
でも、高田社長、好感度は相当に高いはずだ。
この人が嘘をいうわけがない、この人はお客さんを大切にしてくれるというイメージづけに成功している。
それをほとんど代理店にそそのかされたわけでなく、自分で考えてやったというのが凄いのだ。
他の通販番組は、どこのテレビ局で流れても問題がないように作っているが、ジャパネットは全部、その局の視聴者、リスナーに語りかけている。
これは作る方は大変だが、その発想は凄いの一言。
おそらく、私はよほどの事がない限り、ジャパネットで買物をすることはないだろうが、それでも、ここなら多少だまされても許してしまいそうな気がする。
いわゆる、ジャパネットに対して、ユーザーがパーミション(許可)を与えるのだろう。
ちゃんとパーミション・マーケティングになっているのに感心してしまうのだ。
他の通販は、ほとんど土足マーケティング(インタラプション・マーケティング)としか呼びようがないと思う。
土足マーケティングの話は長くなるので又明日にしよう。
アバの全曲セットとか60年代のヒット曲全集なんかの通販をMXテレビでよくやっているのだが、何となく見てしまう自分がかわいい、やはりいい曲はいい曲だね、買う気はないけれど、安部邦雄