自民党の麻生政調会長がこういったそうだ。
年寄りは倹約が美徳だと信じているから金を使いたがらない。だから、贈与税を下げて子供に代わりに使ってもらおう。
何か子供を馬鹿にしたような話だ。
倹約は美徳だと思う世代は年寄りばかりではなかろう。
私などもどちらかというと倹約家の方である。
意味のない金は一円たりとも使いたくない。
人が自分の金を使うのは勝手だが、私に関係のある金を無駄に使われると無性に腹が立つ。税金などもこの範疇である。
採算の合わない高速道路を政治家の面子のために作られるなんて、その理不尽さに全身が震えるほどである。
しかし、だ。
倹約してもらっては、確かに今の政府は困るだろうと思う。
今までの経済原理は、「消費する」ことにあったのだから。
人々は、この1年間にこれだけの消費をする。
では、それに見合った供給はどれだけか。そのために何を作り、何を輸入したりして用意しないといけないか?
長いスパンでみるとどうか?
道路はどれだけ必要か?インフラはどれだけ整備しないといけないか?(特にIT時代に必要な社会基盤の整備はいつまでに必要かは喫緊の課題。)
これらは大体計算し終わっているのである。
そのために先行投資として、膨大な国家予算(つまり税金とか国債などの借金)をつぎ込んできたのである。
だから、倹約しようという掛け声の下に、みんなが物を買わなくなるのは困るのである。予定通り金を使ってくれないと、経済は回らない。どんどんデフレになる。
会社は投資した分が全く回収できなくなるので、どんどんつぶれる。
しかも、経済はもうグローバル化した後だ。
デフレになって、物が安くなれば、世界の資金が次々に日本の資産を狙い始めるだろう。そんな経済侵略を受けてもいいのか?
倹約なんかしては駄目だ。
確かに、鎖国の時代は倹約は美徳だったかもしれない。
しかし、グローバルな時代ではもうその道徳は捨て去らないといけない。
無駄遣いは確かにいけない。金銭モラルに影響し、精神の荒廃を招くことは不可避である。しかし、倹約も過ぎたるは及ばざる如し。
みんなが宮沢賢治になったら困るのだ。「一日に玄米4合と味噌と少しの野菜を食べ」てもらっては経済はぼろぼろになる。
外食産業は軒並み倒産する。それでは困るのだ。
と、いうことで、倹約してもらってはいけないらしい。
年寄りは金を使わないから、子供がその貯めた金を代わりに使ってあげましょう。
一番いいのは、家を買うことです。どんどん買いましょう。贈与税は大幅に減らします。戻し減税もいたしましょう。
さあ、国民の皆さん、貯めているお金をどんどん吐き出しましょう。
倹約は確かに大事です。だから、とりあえず景気がよくなるまでは倹約を我慢しましょう。
お願いです、どうぞ金を使ってください、皆の衆。
何か変な話だ。
そうか、今後も国民がもっと金を使うだろうと思って、それを当てにして金を使いすぎたわけね。
それが、国の借金666兆円なんだ。
そりゃ、みんなが倹約したら、税収増えるわけないよね。消費税なんか減る一方だろうし、法人税なんて、まず期待できないですわね。
そうか、そりゃ仕方ないわな。
しかし、そんな理屈でこれからの日本は大丈夫なの?
倹約文化って、貴重じゃないですか?
それともアメリカのような大量消費文化がやっぱりいいの?
ま、こんなこと言っていても、日本人がずっと倹約なんかするとは思えないけどね。
ただちょっとバブルの時の反動で金を使うことに臆病になっているだけ。
そのうち、又欲の皮つっぱらかせて、またバカバカ使うに決まってるよ。
そんな倹約の美徳を本当に持ち合わせているの国民の10%ぐらいだ。
だから、今倹約している人を脅かすのはやめてあげてほしいな。
本当に爪に火をともして貯めたお金かもしれないじゃない。
そんな金を、又豊田商事とか変額保険のように、年寄りの弱みに付け込んで巻き上げるということを奨励するつもり?
ほっといてあげなよ。使わない人は使わないで。
死んだら、ほとんど国庫に入る金だよ。倹約こそ美徳という哲学を持ったままで静かに眠っていただけばいいじゃない。
国のおせっかいはほどほどにしたほうがいいと思うよ。
景気が底を打ち、自然反転するのが最上では?無理は禁物だと思う、安部邦雄