ある経済誌を読んでいたら、年令が50代から上の社長ではもうこの時代を生き抜くのは難しいと書いてあった。
できれば30代が望ましいのだが、ぎりぎり40代でもよいそうだ。
昔のヒエラルキーの中で出世して来た社員では、新しい発想は生まれて来ない。
調整型ばかりが育成されているので、変革期には向かない。
えらい言われようですねえ。
確かにそうかもしれない。
減点主義の風潮の中で、とにかくマイナス点だけは逃れた社員しか出世出来ない。
それが従来の人事政策だったところが多いのではないだろうか。
そんな風土から社長になった人材が、従来の壁をぶち破るような発想を持っているとは思えない。
今までのやり方で、今までと同じ相手と、今までと同じ市場の中で戦うだけなら、旧来的な社長でもよいのかもしれない。
しかし、今は違う。
今までのやり方だけでは通用しない。
今までと同じ相手とだけ競争するわけではない。
市場はころころ変わっている。
インターネット市場なんて、わけわからないマーケットも生まれて来ている。
わが放送界を見てみよう。
どこも社長はオジンばかりだ。
どこの社長も多少はインテリなので、インターネットがわかっているような口ぶりをしているが、おそらく本質的にはわかっていないだろう。
インターネットは客観的に分析する対象ではない。
まず、自分がそのネットにぶら下がることから始めないといけない。
学習し、習熟し、利用し、創造する、そのプロセスがインターネットの本質を知るのに是非必要である。
ほとんどの社長は、メールを使ったり、サイトを見るだけでインターネット・ユーザーになったつもりでいる。
真のユーザーは、ネットの中で独立し、情報を発信し、他からの情報を自分の判断で取り込み、またそれを加工して、ネットの中に投げかえす、その無限連鎖の一員であることに気づかないといけない。
サービスの受益者発想では、インターネットをビジネスの中核に置いて、新規の需要を喚起させる戦略を持った会社には勝てるはずもない。
そんなネットの渦中に身を置くことができるのは、もう50代以上の社長では無理なのだ。
私でもギリギリか、それとも本当は既に一周遅れはじめているのに気づかないだけかもしれない。
50代以上の社長の皆さん、惰性で商売が成り立つ業界でない限り、そろそろ進退を明らかにする時が近づいているかもしれませんよ。
え?やっと取締役になったばかりなのに、早くあきらめろなんて、そんな無茶を言うな?
でもねえ、あなた、本当にあなたがこれからの時代に生き残れると思えます?
結局、後の世代から見れば、あなたなんて単に邪魔な金食い虫にすぎないんですよ。
それとも、あなたに次の時代のダイナミックなビジョンがあるのですか。
あるとしたら、一度、そのビジョンをご教示いただきたいものですね。
ええと、ここでいいうあなたとは、一体誰のことなのでしょう?あなた?それともあなたのことかな?安部邦雄