星新一さんのショートショートに「お望みの結末」というのがある。
どんな話だったが、忘れてしまったが、今そのタイトルがふと頭をよぎったわけだ。
そう、今、何かよくわからんが、巨人軍が優勝したらしい。
六甲おろしが賑やかに歌われている中での優勝風景。
変なの?、一体どうしたのかな。
西武の優勝もさえなかったけど、この風景もなんだかなあ。
お望みの結末って、確かにあったと思う。
試合に劇的に勝って、感動の優勝の瞬間、選手がどっと走り出し、監督の胴上げ。
それを執拗に追う、膨大な数のマスコミのカメラ。
バンザーイ、バンザーイ。
お望みの結末。
でも、どこにもそんな風景はない。
演出するものにとって、こんな優勝はほんとに盛り上げにくい。
さて、マスコミはこの事態をどうアレンジするか。
私なら、そうだな、こんな遅い時間だし、とにかく今日は早く撤収させた方がいいだろう。
これから、特別番組なんかやらない方がいいのでは。
傷口に塩をすりこむようなものではないだろうか。
とりあえず、一日寝て、今あったことを忘れてしまってから、ゆっくり特別番組をやるのがいいのではと思うのだが。
ま、でも予定していた局もあるし、やるしかないだろうなあ。
日曜日の貴乃花の試合もお望みの結末というわけにはいかなかった。
評論家的にいうと、これからの大相撲の世界の発展のためには貴乃花は負けて正解だったと思うが、演出家としてはやはり不満だったろう。
貴乃花が勝った方が、どれだけマスコミは喜んだことか。
何だ、結局マスコミが喜びそうなことばかり、私達はやっていればいいのか。
マスコミが望んだように結末を作る。
それが、私達プロデューサーの使命なのだ、と言えないこともない。
けっ、マスコミなんてくそくらえ。
何か、本来、今日書こうと思っていたことが、どこかへ飛んでしまった。
今日は、私もかえって寝ますわ。
又、明日ね。
優勝セール関係者の半分は、今中途半端な気持ちで今を過ごしていることだろう、喜んでいるのは、やはり阪神ファンの中の、巨人だけはどうしても許せんという連中だけかな、安部邦雄