湊町再訪
FM大阪の新局舎を再訪した。
湊町リバープレイスという風変わりな八角形のビルの中にあるのだが、このビル、それ自体は大変興味深い建物である。
イメージとしては、大阪ドームと同じものを感じる。
思うに、大阪人は単体としての建物を造るのはとてもうまいのではないか。
関西空港とか、ATCとかWTCとか、梅田シティとやらもなかなかのものである。
そうそうUSJというのもあった。
それ自体はとても面白いというか、不思議な可能性を感じるのだ。
ただ、大阪人はどこまで自覚しているか知らないが、どれも同じ欠点があると思う。
それは、動線がどれも弱いのだ。
その場所へ行くためのモーティベーションが弱いのだ。
行けば面白いのだが、行こうという気になる要素が周辺にないというべきか。
関空のデザインとか、はるか沖合いにある国際空港という位置付けとか、国内便は2階で国際便は3階というわけ方もなかなか面白い。
しかし、関空は行く気になれない。
泉南の沖合いなんて、わざわざ行くような場所ではないという意識がまず関西人にある。
あれが、南港の沖合いにあるなら、もっと華やかな演出も可能だったろう。
しかし、泉南では演出のしようがない。
ガチンコでユーザーと向き合ってもらうしかない。
そしてユーザーは言うのだ。
不便、高い、伊丹のほうがまだまし。
そりゃ関空が利用されなくなるわけだ。
成田は、まだ東京と言うめくらましが効く。
しかし、関空はユーザーとのガチンコ勝負だということを忘れないことだ。
使ってもらいたければ、時間がかかるのは仕方がないが、補助金を使ってでも高速代とか電車賃を下げるべきだろう。
伊丹を二種の空港に下げるとかしても、関空の利用なんか誰がしたいものかと人は言うはずだ。
話を湊町リバープレイスに戻す。
ここも、何となくo-catと同じ間違いを犯しているような気がしてならない。
それ自体は悪くない。
しかし、動線が悪く、その場所が孤立してしまうのだ。
難波とか堀江との面的な構図がしっかり描けていない。
堀江から、湊町リバープレイスに歩いていくと、高速への入口が歩くことを邪魔する。
このストレスは嫌なものだ。
高速へのアプローチがそのままビルになっているのだからしかたがないが、動線にアプローチを交差させるのは最低だ。
これがあるだけで、散歩がてらに行こうという気をそぐだろう。
建物周辺は逍遥のイメージを作っているのに、逍遥の情緒が全体にないのだ。
o-catもそう。
せっかく関空につながり、世界への窓口と言うイメージができるのに、街全体が世界へのつながりを感じさせない。
単体で何とかできるとでも大阪人は思っているのだろうか。
残念ながら、街を作るのは東京の方がセンスが優れている。
新宿副都心にしても、汐留再開発にしても、品川周辺にしても、全体的な動線がよく考えられている。
失敗例といえば、お台場などがあるが、それでも大阪ほど失敗してはいない。
街づくりに欠かせないのが動線のはず。
エフエム大阪の人間にもそういった発想を感じないのが残念でならない。
やっぱり、あの建物には川を越えるオシャレな天空橋をつくるべきではなかったか、とにかく異空間を演出するノーハウがまるで感じられないのが致命傷かもね、安部邦雄