最近、あまりいい曲がないなあ、と思う。
そんなもの昔からだ、と言う人もいるが、私は違うと思う。
昔は映画のテーマ曲というと、実に感動的な曲が多かったものだ。
最近でも、『タイタニック』のセリーヌ・ディオン「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」などは、なかなか良く出来ていると思うが、それ以外ではあんまり目立ったものがない。
昔は本当に映画音楽というだけで、年間に何十曲とヒットがあったような気がする。
ほとんどがヨーロッパの映画で、カルロ・ルスティケリとかエンニオ・モリコーネ、フランシス・レイにモーリス・ジャールという作曲家がキラ星のごとくいたし、アメリカではヘンリー・マンシーニは私にとっても凄い存在だった。
中学の音楽の時間、先生が皆さんが好きな作曲家を言って下さいと言われたので、大きな声で「ヘンリー・マンシーニ!」と叫んだ。
先生は、モーツァルトとかベートーベンとか言わせたかったのだろうが、その頃の私の心を揺さぶったのは、疑いもなく「ムーン・リバー」とか「シャレード」「ひまわり」などの作品だった。
気分はロールオーバー・ベートーベンだったわけである。
「ブーベの恋人」とか「第三の男」、アルトサックスの音色も悩ましい「女王蜂」(ブラバンの時には、この曲ばかり練習していたような)。
「スエーデンの城」(バス・クラリネットを使っていたのが印象的)「誘惑されて捨てられて」「夜霧のしのびあい」(クロード・チアリの名作、でも日本版だけと後で聞いてがっかり)などなど。
なのに、最近の映画、本当にろくなテーマ曲がない。
何かありますか?知ってたら教えて下さい。
では、何故こんなに映画音楽がさえないのか。
結局、音楽全体がさえないからじゃないかな?
世界的にレコードが売れないのは、コピーのせいだなんて喧伝されているが、やはり音楽自体の訴求力が落ちているんじゃないだろうか。
それでなければ、映画はそこそこあたってるのに、テーマ曲に見るべきものがないという現象をどう説明すればよいのだろう。
「遥かなる山の呼び声」「いそしぎ」「禁じられた遊び」「北京の55日」に「史上最大の作戦」、「大脱走」というのもあった。
「ライムライト」はあまりにも切ないし、「ジャニー・ギター」も心に響くなあ。
「カサブランカ」の「アズ・タイムズ・ゴーバイ」なんて、酒場で聞くと涙が出てくる。
本当、何故最近の映画音楽にろくなものがないのだろう。
ちょっとは奮起せよ、作曲家諸君!
お気に入りの映画音楽を書きはじめるときりがなさそうだ、ちなみに私が最初に買ったサントラは「サウンド.オブ・ミュージック」、自分で買ったわけではないが「ウェストサイド物語」もあったなあ、何とこのレコード、30・ではなく25・というサイズ。今は見ることもできないが、、安部邦雄