世界で大人がマンガを堂々と読むのは日本だけなどと言われている。
確かにそうかもしれない。
私なんかも時々マンガを読みながらニヤニヤしている一人だろう。
ええオッサンがマンガなんか読んでと怒られるかもしれないが、私のような職業をしているとマンガを知らないではすまないことが多いのだ。
ドラえもんとか、ピカチュウとか、ピグミンとか名前も知らないようでは業界人失格と言われるだろう。
昨日から始まったテレビ朝日の連ドラ「逮捕しちゃうぞ」だって、原作はマンガである。
「サラリーマン金太郎」「ナニワ金融道」もマンガがヒットしてからドラマ化されたものである。
もちろん、テレビを見る側は原作が漫画であろうと、小説であろうとどうでもよいことだが、やはり業界の流れをウォッチすることが自分の仕事だと思うと、元々どの雑誌に連載された何と言う漫画家の作品かを知らないのは恥なのである。
さて、マンガというと色々取り上げたいものがあるのだが、今回は「気まぐれコンセプト」に言及してみたい。
連載している雑誌は「ビッグコミック・スピリッツ」で作者は「ホイチョイ・プロダクション」である。
連載を開始したのは、20年ぐらい前のことである。
最初はシロクマ広告社と荒鷲エージェンシーという広告代理店が、主に財前部長率いるカブト自動車の扱いをとる為のドタバタを描いたマンガだったが、連載を続けていくうちに、広告代理店のとんでもない内幕とか、いわゆるマスコミ受けしそうな話題をとりあげて、通落ちを狙った内容へと変わってきていると言うところか。
私は、スピリッツを買うことはもはやほとんどないが、たまに喫茶店においてあればこの「気まぐれコンセプト」と「美味しんぼ」だけは一応チェックすることにしている。
今日、見た中では、お台場に「タメ口マック」ができたというのが面白かった。
マックの女の子というと、「いらっしゃいませ、何をさしあげましょうか?」と聞くのが普通なのに、この店では「何すんの?」「飲み物はどうすんの?」などとタメ口で聞いてくるらしい。
本当だろうか?
毎回、いかにもありそうな、軽佻浮薄な広告の世界を書いてあって、業界人の私が見ても妙に納得してしまうことが多い。
シロクマ広告社というのは、主に電通と考えてよく、荒鷲エージェンシーというのは博報堂を表していると思って良い。
しかし、最近は博報堂自体もあまりさえないからかして、話題はもっぱら電通周辺から出ているようなものが多い。
しかし、本当にもう連載が始まって20年も経つのだ。
毎週の作業なのに、タネがつきることもなく、よく続くなあと感心する。
それと比べれば、この欄を毎日更新するなんて、別にどうってことないかもしれない。
「気まぐれコンセプト」の凄いところ、それは20年間飽きもせず続けてきたと言うことだ。
マンガなんてという批判もあるだろうが、なかなか馬鹿にできないものがあるのだと強調しておきたい。
でも、ビッグコミックオリジナル連載の「釣りバカ日誌」と「あぶさん」は、もういい加減にやめとけと言わざるを得ないが。
いしいひさいちのマンガは相変わらず面白い、私のエッセイのカットを書いてもらったことが奇跡のように感じている、でも、それも20年以上も前のことになってしまったが、安部邦雄