銀座で開店したばかりの寿司屋に入った。
最近はやり(?)の低価格の寿司屋だ。
1貫50円からというのだから、まるで回転寿司屋である。
銀座は高級寿司というイメージはもう過去のものかもしれない。
新規開店の寿司屋は色々問題があった。
まず、外は雨模様というのに、店に傘立てがない。
どしゃ降りの時には、客はその濡れた傘をどこにおけばよいというのか。
荷物の置き場がない。
椅子の下の部分にモノを置くスペースがあるのだが、大きな荷物は全く入らない。
これで収納を考えたつもりなのか。
上着を置く場所がない。
どこかに背広やコートをかける場所がないと、お昼時は困るぞー。(特にこれから寒くなるし)
低価格で勝負というのは、客の回転をよくして、大量に処理するシステムが不可避である。
客が荷物を抱えて、喜んで寿司を食うとでも思っているのだろうか。
料理の盛りつけ方がバラバラで、目の前で職人同士が混乱している。
そんなの開店前に統一しておけ。
客の目の前で言い合いしてどうするねん。
客のお茶がなくなっていたら、こまめに注がんかい。
言われてから動くんじゃ、客の回転は悪くなるばかりだ。
客を高回転させようと思ったら、客に合わしていてはいけない。
店のペースに客を合わせるのだ。
その為には、店が言葉や動きでどんどん客を追い込んで行かないといけない。
高級寿司店なら、客の要望を待って対応するのが基本だが、大衆店はこちらから、次々に要望を聞いて行くべきなのだ。
用事のなくなった客を追い出すには、黙っていてはいけないことぐらい知らないのか。
他にも一杯指摘したいことがあった。
店の人たちは、ここまで漕ぎ着けるのに本当に苦労しただろうということはよくわかる。
でも、一生懸命やっても、やってることがずれていれば商売は成り立たない。
いくら、慎重に検討し、チェックしても、いざとなったら何かが漏れるのが普通だ。
要は、その何かが致命的でないこと、その数が最小限であることに気をくばらないといけない。
バタバタのまま開店するとロクな結果にはならない。
そんな事例、イヤと言う程見て来た私。
でも、それをそのままお店の人に言うと、たいていは嫌がられたというのも悲しいが事実なのだ。
寿司の味はまあまあでしたね、最後に食べたアナゴの握りがお勘定に入っていなかったので、ちょっとは許せるかもね、って、こんな規模の店でつけ忘れしたらアカンやないか、安部邦雄