月には、大の月と小の月がある。
大の月とは、31日迄ある月。
小の月はそれ以外の月。
こういう話を聞いたのは、ずいぶん前の話だ。
小学校に上がる前だったかもしれない。
そういう幼心にこの話は、難しかったはずなのだが、ついでに聞いた次のようなフレーズが今も焼き付いて離れない。
小の月の覚え方は「西向く侍」と覚えるといい。
2、4、6、9月で、西向く、11月は武士の士と字は同じだから、侍と覚える。わかった?
子供の私は、西を向いているちょんまげをした武士の姿が夕陽に映えてまぶしかった。
小の月がなんであるかよりも、そのイメージの鮮烈さが印象的だったのである。
学年が進んで行くに従って、こういった語呂合わせのような形で覚えるものが増えて行った。
九九というのもあった。
いんいちがいち、いんにがに、いんさんがさん・・・。
丸暗記である。
実際、九九は丸暗記する以外どうしようもない。
その次は中学校。
ルートの覚え方。
富士山麓オーム鳴く。
ルート5の覚え方だが、これも好きな1つだ。
富士山麓でオームが本当に鳴くのかなんて野暮を言ってはいけないのだ。
同じ頃、歴史の年表を語呂合わせで覚える。
お気に入りは、「なくよウグイス、平安の都」「いい国作った鎌倉幕府」「いよ、国だとコロンプス」あたりかな。
あまり皆さんが知らないものの中に、「玄奘はセックス肉断ち、天竺へ」というのがあった。
玄奘すなわち三蔵法師が教典を授かりに天竺に出かけた年が629年ということだ。
確かに、仏に仕える身なら「セックス(6)肉断ち」というのは当然のことだったろう。
昔の人がよく言っていたのだが、富士山の高さは、その高さを測るのがなかなか難しいので、皆悩んだ。
で、みななやむ(3778m)と覚えたというのだが、今は3776mになっていて、せっかく覚えたのに使えなくなったそうだ。
ま、2mぐらいは許せる誤差だろうが。
高校時代に入り、イオン化傾向も、語呂合わせで覚えた。
「貸そうかな、まああてにすな、ひどすぎる借金」
元素表もあった。
「水兵リーベ(何でここだけドイツ語)僕の船、名前ある、尻スクリューある」
何たる覚え方であろうか。
すいきんちかもくどってんかいめい(水金地火木土天海冥)なんてのもあった。
10年ぐらい前に、海王星と冥王星の位置が変わった為、どってんめいかいと言えという話もあったが、今はどうなっているのだろうか。
そういえば、冥王星よりも外側に惑星が発見されたと言う話が先日報道されていた。
といっても、これは小惑星の類いなので、十番目の惑星とは考えないという話もあった。理由はよくわからん。
そうそう、円周率の覚え方って何らかの語呂合わせがあってもいいと思うのだが、どうもなかったような気がする。
3.141592...、最近は3と考えて良い等と学校で教えるようになったとか。
何か違うんじゃないのというオブジェクションが過去の世代から大分寄せられたようだ。
ま、私はπで表せばそれで良いと思うのだが、それでは面積を出したり引いたりする問題が出せないらしく、どうしても数字化しないといけないらしい。
他にもアボガドロ定数と言うのがあった。
化学の世界の定数で、1モルの分子量を導く時に使う定数である。
大学入試でも、この定数は出て来て、見事に正解したので何となく覚えている。
関係ない話になった。
しかし、最近はこういう語呂合わせで覚えることってなくなってきたような気がする。
外国語が脈絡なく入ってくるようになって、なかなか語呂合わせ迄手が回らないからかもしれない。
重いものを軽くするための方策としての語呂合わせは今も有効だと思うが、それほど楽な作業ではないのかもしれない。
ま、今日はこれぐらいの話で御勘弁を。
早く帰って、暖かくして寝ようっと。
声が出ないと元気も出ない、やはり昨日のゴルフは無茶だったかも、安部邦雄