たまにはプロらしいことを書いてみよう。
プロデューサーというのが、一応私の肩書きである。
放送プロデューサーであったり、映画プロデューサーであったり、演劇プロデューサーであったりするのだが、ジャンルの違いはあれ、本質的にはさほど違うことをやるわけではない。
イベントプロデューサーというのもたまにやる。
最近だと、名古屋で行った衛星放送のプロモーション・イベントかな。
勉強にはなったが、営業的にはさっぱりもうからなかった。
誰も引受け手がなかったら、私にまわってきた代物だった。
全体的な予算を誰が持って行ったのかと思うようなイベント。
でも、イベントって、実際やる段になると最初の予算の半分になっているのが普通だ。
中間に入ったところが、抜いてしまうのである。
業界用語で、「間で抜く」と言う。
どれだけ抜けるかが勝負なんて言う奴もいる。
抜くのが商売という典型が広告代理店。
代理店をマスコミ扱いしたりするが、どこがマスコミだといつも思っている次第。
ある講演会があった。
某文化人をブッキングしてくれと頼まれた。
私がその人と仕事をする間柄だったからだ。
でも、その人に仕事を頼むには、必ず通さないといけない事務所がある。
直接、本人に依頼し、ついでにその事務所にも連絡。
事務所は、ギャラはこれこれと言ってくる。
本人に払われるのは、その半分であることは本人から聞いて知っている。(そんな奴に何故了承をとらないといけないのだと思うが、そういう関係になったので仕方がないと本人も言う)
で、その額を依頼主に通知。
案の定、高いと言ってくる。
ここで値引き、なんてことはしない。
高いのが嫌なら、頼むのはあきらめたらと答える。
私はプロデューサーなのだ。
ブローカーじゃない。
交通費込にしてくれたら、払ってもいいと依頼主。
日帰り仕事だからまあいいか、と私。
じゃ、本人の了解をとって又連絡、と電話を切る。
事務所へ電話。
交通費込でこれこれでどう?と聞く。
もちろん、10~15%ぐらいの手数料はさっ引いて伝えるのである。
全然知らない中ではないから、まあいいでしょう、と事務所は必ず言う。(素人相手じゃ、こんな譲歩は絶対にしない)
ブッキング終了。
後は知らん。
え?これのどこがプロデューサーの仕事?
つまりですね、マトモな仕事をしていたら、ちっとも金にならないというのがプロデューサーなんですね。
こういうのもあってのプロデューサー。
できなきゃ、プロデューサーなんて続けられるものじゃない。
ま、こうやって文化人に仕事を斡旋したりしながら、文化人と交流するというわけ。
そう、プロデューサーというのは、金と人とのつき合いがメインなのだ。
それがなければ、何事も始まらない。
大きな仕事は日々の小さな作業の延長に成り立つものなのだ。
それにしては、最近小さな仕事ばかりでは?と言われかねないが、ま、いいじゃない。
こんな不景気な時に、無闇に焦ってもいい仕事はできない。
泰然自若というのも、プロデューサーの心得の一つ。
つまり、今の私がそんな気分というところかな。
やっぱりブローカーとどこが違うんだと言われそう、目的意識が違うということかな、ムコウは金もうけ至上主義、こちらはクリエイティブ至上主義、素人には見分けがつきにくいかもしれないが、安部邦雄