「買ってはいけない」という本がベストセラーだったのはいつのことだったろうか。
去年もその続編が出ていたが、こちらはそれほど話題にならなかった。
前作は一応図書館で借りて読んだ(予約してから6ヶ月ぐらいかかったが)。
あまりにも馬鹿馬鹿しかったので、続編は借りる気もしなかった。
何が馬鹿馬鹿しいか。
そんなこと言ってたら、食べるものなくなるやん、ということ。
名前を出された商品がダメなのはよくわかったが、じゃあ他の商品は安全なのかというと、この本のように考えたらどれも安全とはいえない。
安全な商品と推賞されているものは、皆値段が高い。
「買ってはいけない」はブルジョワジーしか相手にしないのか。
プロレタリアートは、何でもいい、まず食わないといけないのだ。
あれもだめ、これもだめ、なんて言って、名指しされた製品を作っている人もいるのだ。
もう少し、供給者側の気持ちもくみながら批判しないと、単なる誹謗中傷と同じじゃないか。
そういうわけで、続編は読まなかった。
ベストセラーにならなかったのは、ほとんどの人が私と同じ意見だったからかもしれない。
何故、こんなことを言い出したかというと、今日、近くの生鮮食料品も売っている100円ショップに行って、あまりの安さに驚いたからだ。
納豆4個入り、80円
豆腐、一丁20円。
八朔、一ネット150円。
安すぎる。
豆腐って、本当にまともな大豆使っているのか?
納豆、腐り過ぎているのと違う?
八朔、中国で栽培しはじめたのか?
私は一本130円の青首大根を買った。
大根おろしにして、納豆と和えた。
無茶苦茶うまい、無茶苦茶甘い。
これで130円?本当に大丈夫?農薬だらけ?遺伝子組み替えは?
こういうのって、店の経営努力なのかもしれない。
少しでも安く、少しでも安全なものを食べてもらいたい、良心的な店なら普通はそう思うだろう。
じゃあ、安全な食べ物って何だ?ということになる。
厳しく言えば、「買ってはいけない」になる。
スノッブ風に言えば「美味しんぼ」になる。
今の人は、本物の味を知らない。
こんなのは本物の味ではない。
そう言い出せばキリがないだろう。
有機だから、無農薬だから、無条件に安全というわけではない。
押したり引いたりしながら、人は毎日を生きるのだ。
日々、人間は神の壮大な実験につきあわされているとも言えるのだ。
正論ばかりがのさばる世の中って、私はあまり好きではない。
矛盾しているかもしれないけれど。
100円の野沢菜もシャキシャキしてうまい、スーパーで買うと198円、観光地で買うと300円もする、でも毎日これ食べていたら、顔がだんだん緑色になるかも、食べ物には気をつけないといけないのは事実だけどね、安部邦雄