昨日の難しい話の続きを書こうと思ったが、事務所の清掃に労力を使い過ぎて、さっぱり頭が働かない。
CURE-TOWNの話は又今度ということで、肩の凝らない話を少し。
今日は、朝から野暮用で銀座に行っていた。
銀座は、私が勤めていた会社の支社があったところだ。(今は築地に移ったが)
おかげで常連だった店があちこちにあるのだが、用事が早くすみ時間ができたので久しぶりに散髪屋に行った。
一番贔屓にしていた兄ちゃんはもう独立して出て行ったらしい。
店の若旦那と、金髪頭の若い子が面倒見てくれた。
「久しぶりですね。」と若旦那。
この人、客層を広める為にと指圧教室に通ったりする勉強やさん。
確かにマッサージはうまいのだが、マッサージに金かける人がどれだけ散髪屋に来るのか疑問。
ただなら、揉んでもらうが、2000円かけてマッサージしてもらう気にはならない。
何しろ、私は髪を切ってほしいのであって、肩を揉んでほしいわけではないのだから。
「最近は、どんどん銀座から常連さんが出て行くんですよ。」
あ、そうだな、近くにあった電通も今や汐留に移ったし。
「このあたり、なじみの店がどんどん潰れて行くんですよ。おかげで、ラーメン屋ばかりが増えて行くんです。」
「ラーメン屋?」
「近くに20軒ぐらい店出してるんですよ。ほとんどがどこかのチェーン店。客が入らないと思っていると、すぐ潰れて、しばらくすると、又別のラーメン屋が入るんです。」
銀座もラーメン屋が店を出す街になったのか。
それだけ、地価が下がったというか、テナント料が落ちたんだろうな。
「そういえば、私が常連だった店もいつの間にかなくなっているね。ステーキ屋なんか、2軒も閉じちゃったみたい。」
「寿司屋も高級店と大衆店しか残っていないですね。中途半端な寿司屋は軒並み潰れましたね。」
銀座は、それでもステータスはある。
上流階級や、金持ち階級が買物するために集まるエリアという位置は失っていない。
「ヴィトンにエルメス、カルティエ、ティファニー、どこも女性客で一杯です。」
「日用品には金かけないけど、ステータス・シンボルみたいなものは持っていたいわけだね。」
本当に中途半端な店はもう残れないのだ。
差別化とか、マーケティングとかいう前に、まず中途半端な気持ちで商売してもダメということだろう。
考えない店は、消えゆくのみだ。
散髪屋を出てしばらくぶらぶら歩く。
テナント募集の看板があちこちにある。
あるビルは全館テナントが入っていなかった。
おそらく、全室を借りていたテナントが新しく立った高層ビルにどっと出ていったのだろう。
かって銀座にビルを立てたオーナーさんは、テナントなんか黙っていても向こうからやってくると思っていたことだろう。
それぐらい、銀座というアドバンテージは凄いのだと信じていたはずだ。
しかし、それはもはや夢物語。
銀座であっても、不便なら誰も入りたがらない。
高ければ、ますます誰も入らない。
こんな時代が来るなんて。
そんなため息があちこちから聞こえてくる感じだ。
たそがれの銀座?♪、かな。
行きつけのフグ屋もなくなっていたし、あんなに人が並んでいたイタ飯屋も消えてなくなっている、そういえばこの欄でも書いた、歌舞伎座の横にある歌舞伎そばも心なしか客も減ったような気がする、味が落ちたのかな?安部邦雄