先日、ベンチャーキャピタルの説明会に行って来た。
大変参考になったところもあるが、率直な感想を言うと、こんな奴らが投資家を代表しているのか、と情けなくなった。
日本の産業はアメリカには勝てない。
投資する側の意識がまるで実体にあっていないのが日本である。
結局、広い意味での担保があるかないかしか、投資する時の基準になっていないのだ。
アメリカのようなゲーム感覚で投資するようにならないと、時代を作り出すベンチャービジネスなんて産まれて来ないだろう。
たとえば、アメリカの例ではこんなのがある。
アメリカにビジネス拠点を作ろうと思って、とあるビルのオーナーと相談。
オーナーは事業の内容を聞いて、一言、「OK、賃貸料はいらないよ、そのかわり、お前のところの株をくれ。」
こんなオーナー、日本にはなかなかいない。
そうなる為には、少なくとも日本に投資減税という制度がインセンティブとして必要になるだろう。
家を建てるための住宅減税ではなく、事務所を貸す時の投資減税を考えた方が、ベンチャービジネスは確実に育つ。
文化の違いを克服しないと、アメリカみたいにはいかない。
できないのなら、アメリカの真似をすることはやめればいいのに。
今回、なるほどと思ったことが1点あった。
ベンチャーキャピタルの投資対象マーケットは最低100億円の市場があることだとか。
一つの企業のシェアは10%を標準と考えるらしい。
で、年間売り上げ10億円、そこから2?3億円の経常利益を出すというスキームなのだ。
確かに、この方程式は正しそうな気がする。
充分株の上場も可能だし、株を売って投資家に還元することも可能だろう。
で、この範囲にないベンチャー企業には金を出さないというわけだ。
市場規模100億円、果たしてそんな市場、簡単に見つかるものだろうか。
インターネットの個人向けサービス企業だったら、計算上はありうる。
インターネット利用者を5000万人としたら、100億円というのは一人が年間200円払えば達成できる。
それのシェア10%だったら、それほど苦労もしないかもしれない。
てなわけで、ベンチャーキャピタルは、インターネットビジネスに投資するようだ。
しかしなあ、インターネットビジネスって、そんなマス感覚で捉えてもいいのだろうか。
どうも、1対Nの構造でしかビジネスを捉えていないのでは。
マスマーケティングなんか通用しないはずなのに、どうしてベンチャーキャピタルはそんなマーケティング理論に固執するのだろうか。
早い話、わかっていないのかもね。
当日は、すごい批判的なことを言って、帰ってまいりました。
これで、フロムスリーも当分、資金的には恵まれそうにもなさそう。
こんな、ベンチャーキャピタルに挑戦的なベンチャーなんてウェルカムなわけないだろうし。
日本は伝統的な方法論を捨てて、アメリカに経済的に勝てるのだろうか、それとも、寄生虫のようにアメリカ資本に食い込み、いつかその方法論ごと、日本が乗っ取ってしまうことを考えているのだろうか、何か日本人って遊星からの物体Xみたいな存在なのかもしれないなあ、安部邦雄