昨日、無造作にコア・コンピタンスという言葉を使ってしまった。
直訳すれば、中核能力。
企業的に言えば、会社が利益を上げる源である。
企業が利益を上げるということは、すなわち何らかのコア・コンピタンスがあるわけで、これがなければ一般的に企業を続けることはできない。
要は、これを自覚しているかどうかで、今後の企業の命運が左右されるというわけだ。
例えば、NTTのコア・コンピタンスというのは、国民のほとんどを自分の顧客にしているからに他ならない。
毎月、基本費と電話料をほとんどリスクもなく手に入れることができる。
そう言うシステムをNTTが持っているのがコア・コンピタンスなわけである。
ところが、インターネットが普及するにつれて、NTTはそのコア・コンピタンスを失いつつある。
IP電話なんか普及されたりしたら、基本費も電話料も鬼のように大幅ダウンする。
ひとりあたり毎月2000円を徴集できたとすると、2000億円、年間で2兆4000億円の売上があるわけだ。
半分、顧客がいなくなっただけでも大変である。
それゆえ、NTTにとっては従来のコア・コンピタンスでは経営が破綻するのは自明ということになり、新たなビジネスモデルを模索せざるをえないというわけだ。
NTT自身、まだその答を見い出しているようにはみえない。
10年後に、果たして生き残っているかどうか。
さて、昨日の課題に立ち戻ってみよう。
私は、FM大阪とかFM東京のコア・コンピタンスとは何かを問いかけた。
もちろん、何かあるはずである。
そうでなければ、今のような成功はありえない。
もし、それを見つけたとしても、今度はそのコア・コンピタンスが今後も維持できるかどうかが問題になる。
私はFM大阪もFM東京も一応経験して来たわけだが、やはり一番在籍が長かったFM大阪を例にとって考えてみることにする。
FM大阪のコア・コンピタンス、それは何か。
一言でいうと、都会の放送局、とりわけラジオとしてはやや先進的なイメージのあるFM局であるということだ。
都会の先進的な放送局であり、同時に相当数のリスナーを持っている。
これがコア・コンピタンスということになるだろうか。
商売というのは、常に供給側のイノベーションとともに発展する。
そのイノベーションを支える媒体としての役割を果たすことによって、FM大阪は伸びて来たというのがマクロ的な視点だと思う。
で、もし今何が問題かというと、そういった供給側のイノベーションに放送内容が対応しているかどうかだ。
供給側のイノベーションというと、現代では文句なくITである。
さて、放送局がITにタイムリーに対応しているだろうか。
FM大阪に限定して言えば、残念ながら対応しているとはいえない。
FM大阪のホームページを見てもらいたい。
どこにもイノベーションの香りがしない。
悪いが、単なるITのフォロワーなのだ。
世の中がそうなっているから、何となく真似事でついてきているだけなのである。
リスナーからも、放送局として要求される先見性を感じてもらえないだろう。
供給者側としてのスポンサーから見ても同じである。
供給側のイノベーションとはどうみても対応していないのだ。
ではFM大阪はどうすればよいのか。
さて、それですがな?。
難儀なことですわ、ほんま。
てなわけで、明日に続きます。
これも、あまりこの欄にふさわしい題材じゃなかった、少々煩雑かもしれないけど、我慢して読んで下さい、安部邦雄