水道橋に行ってきた。
JRの駅を降りると賑やかである。
小石川後楽園とか文京区役所の高層ビルなども有名だが、やはり水道橋というと、東京ドームシティ。
ほとんどがそこへ行く客だろう。
東京ドームシティというから、メインは東京ドームだが、他にもプロレスやボクシングでお馴染みの後楽園ホール、天然温泉ラクーア、前に後楽園ゆうえんちと呼ばれていた東京ドームシティ・アトラクションズ、WINS後楽園に、高層ビルの東京ドームホテル。
ちょうど、巨人戦も行われていて、若い人から中年サラリーマン、団体旅行のオバさん達、カップルに子供達も集まってきて、実に活気がある。
まるで、毎日が祭り状態だ。
これがディズニーランドやUSJでなく、水道橋と言うさほど有名でもない場所のにぎわいなのである。
東京に初めて行って、今日は祭りなのかと思うほど人がいてびっくりしたなんて話をよく聞く。
そうなのだ、東京ドームシティは祭り会場みたいなものなのだ。
だから、たまたま仕事の都合で水道橋を訪れた私すら、その賑わいに心が揺らいだりするのだ。
自分も祭りに参加したい、連帯感に浸りたい、そんな気持ちが腹の底から沸き上がって来る。
巨人戦も、立ち見なら1000円で見れる。
遊園地はひとりじゃ嫌だけど、ラクーアならひと風呂浴びようかな、という雰囲気になる。
たくさんの人が次々にエレベーターに吸い込まれて行く。
しかし、ひと風呂浴びて2300円だ。ちょっと高い。
夜になり、ネオンが華やかに瞬く。
まるで集魚灯のように街が人を呼び寄せる。
毎日が祭り、それが東京なのだ。
思うのだが、人を呼ぶには、何かの単体では無理かもしれない。
あれがあって、これがあって、それがある。
全体として、そこが怪しげに光る。
そう、「千と千尋の神隠し」のような、光景である。
だから、ただ遊園地がぽつんとあるとか、大阪ドームのような球場が単独で人を呼べるかというと、疑問なのだ。
そのまわりに、あれも置き、これも置かないといけない。
何かと何かが組み合わさり、それに幽玄な光が加わって、祭りの雰囲気が完成するのだ。
昼間の光に曝されていては見えないものが、夜になり怪しく蠢き出す。
人も又、昔は夜行性だったのかもしれない。
などと思いながら、ま、そんな祭りに参加している場合かと諦めて戻ってきた。
今宵見る人、皆美しき、という気分。
やはり、祭りはこうでなくっちゃ。
人間って暗いところにはあまり行きたくないが、明るいとついフラフラと引き寄せられる、前者は怖いという感覚だし、後者は楽しそうという感覚、こうして人は騙されるのかもしれない、安部邦雄