毎年、ヒイヒイ言いながら年の暮を迎えている。
ああ今年もまもなく終わりだなあ、という寛いだ気分を何年も味わっていない。
やばいやばい、と思いながら綱渡りのような資金繰りをして、毎年を終えている。
来年こそいい年でありますようにと願っても、次の年の暮にはやはり同じ願掛けをせざるをえなくなる。
まことに、人生とは重き荷物を背負いて遠き道を行くがごとし、である。
今年のボーナスは少なかったとか、年々忘年会が減ってきたとか、同僚と一緒にぼやきあうなんてことは、もう私にはないんだろうなあ。
ボーナス出るだけ、ありがたいと思え。
資金繰りに年末ぎりぎりまで追いまくられる経営者も一杯いるのだ。
少しは、そういう苦しい思いで年末を迎えている人のことも考えてあげろ。
何だ、おれは誰に文句に言っているのか?
新宿周辺、クリスマスのイリュミネーションが眩い。
昼間見ると実に間の抜けた造作物が、夜になると途端に幻想的な装いを演出しはじめる。
空から、雪が落ちて来る。
そんなランプも静かに回っている。
ただ悲しいかな、この造作物は去年も全く同じものだった。
どこかの倉庫に置いてあったものを、11月になって又出してきたということだろう。
経費節減、リストラ、リストラ。
どこが景気がよくなっているのですか、竹中大臣どの。
こういうのは心理的なものですなどと、ノー天気なことは言ってほしくない。
今年も又暮が騒がしくやってきた。
屈託なく新年を迎えられる人は幸いなるかな、である。
本当にいつ頃から、年末になるたび、こんなに精神的に追い詰められるようになったのか、あれもやっていない、これもやっていない、年賀状は書いていない、掃除はしていない、ああ、何たる繰り返しであることよ、安部邦雄