あるレコード会社のプロモーターに聞かれた。
どうしてCDがこんなに売れなくなったのか。
私は、思いつき程度にこう言った。
それはCDがもうオシャレじゃないからだ。
一時期は、CDを買うこと、持つことがオシャレだった。
だから、皆が争って買ったし、CDの話題で仲間意識も持つことができた。
よく、携帯電話代が高いから、若者はCDを買う金がなくなったんだという説を聞く。
私は昔からこの説には納得できなかった。
確かに携帯電話>CDと若者意識が反映されているのだろう。
しかし、それは言い換えれば携帯電話がCDよりオシャレなアイテムなのだということではないのか。
CDは昔はオシャレなアイテムの一つだった。
だが、今ではそれほどの存在ではないということなのだ。
音楽がコンテンツとして含まれていようと、もうCD自体に魅力がない。
だから、音楽を買ってほしければ違う媒体を使うべきなのに、いつまでもCDという媒体にすがりついているのが音楽業界なのだ。
繰り返す、CDはもうオシャレな媒体ではない。
いつまでも、そんな時代遅れの媒体に音楽業界がすがりついていたら、せっかくのいい音楽まで、一緒になって否定されかねない。
媒体は常に技術革新とともに変化して行くものである。
かってはドーナツ盤であったり、オープンテープであったり、カセットであったりしたのだが、次から次へと衰退して行ったのはご承知の通り。
CDもそういった衰退の運命から逃れられる理由などないはずだ。
音楽業界は次の媒体を用意すべきなのである。
何故にCDに固執するのか、私にはわからない。
レコード会社のプロモーター氏はずっと私の話を聞いた後でこういった。
レコード会社自体もまた、衰退して行く過程にあるわけで、もはや自分たちの力では流れをとめることはできないということですね。
俺たちはただの魚さ、川の流れまでは変えられない?♪
増田俊郎君の「コインランドリー・ブルース」の一節が、又私の頭の中をリフレインした。
前に、商品はぼろぼろになるまで生産されるということを書いた、CDも又だましだまし発売され店頭に並んでいるわけだが、その未来はあまりに暗い、安部邦雄