今日も、11時を過ぎてしまった。
これといって何もできていないのに、時間だけが経っていく。
さて、今日の更新、さすがにトラウマ話を書くパトスがなくなってきた。
ほとんどの人にはどうでもいい話、なのに自分にとっては片言隻句が胸にこたえる。
誰でもが、人には言えないことを一杯持っているのだろうな。
社交的な人とか、いつも明るく人に接している人というのは、こういうトラウマ話が相対的に少ないのだろう。
そんな人(女)、誰かいませんかねえ。
さて、簡潔にトラウマ話の最終回を書く。
音楽顧問は、自分が教えていたと思われる生徒と合同で練習させた。
課題曲は「スパニッシュセレナード」。
いきなり、顧問から楽譜を渡され、今から合奏するぞと言う。
初見で吹けと言うのだ、無茶を言うなと思った。
中学生になってから楽譜を見ながら演奏するようになった私、子供の頃からピアノを弾いている子と同じようにはできない。
にもかかわらず、何とそのフレーズの中にテナーサックスとピアノしか出さない旋律があるのだ。
初見で吹けと言われても、そう簡単にはできない。
しかも、その旋律、裏打ちみたいな形で入って来るので、主旋律とのバランスがわからなければキッカケがつかめないのだ。
おい!サックス、おまえの音が聞こえないぞ!
叱責され焦るばかりの私、「スパニッシュセレナーデ」を全く聞いたことがないのに、直ぐにできるものか!
おれは、行進曲を吹く為にブラスバンドに入ったのだ。
軽音楽部に入ったわけじゃない。
そして、秋の運動会でのアクシデント。
顧問は修理したサックスを私に見せながら、「一体、修理代どれだけかかったと思ってるんだ!大体お前はけしからん!」と息巻かれた。
わかりました、私は部をやめさせていただきます。
そう、決心したように言う私に、顧問は叩き付けるように声をかけた。
当たり前だ!やめてしまえ、お前なんか!
天才的なクラリネットの奏者になるはずだった少年の可能性が、そこで一つ消えたのである。
「スパニッシュ・セレナーデ」はビゼーの曲、これを書き終えた後、実際に曲を聞いてみた、中学生の時以来だ、聞きながらすべての旋律が次々に甦ったが、やはり例のパートでは、キッカケがつかめず、どうしてもワンテンポ遅れてしまう自分がいた、ああ、何でこんな曲を俺にさせたんだー!安部邦雄