朝日新聞の夕刊1面を見て、ちょっと驚いた。
「ソニーBMG、ファイル交換ソフト会社と提携検討」とあった。
アメリカ・サンノゼ発の特ダネのようだ。
レコード業界が目の敵にしてきた、ファイル交換会社(有名なのはナップスター)と提携するなんて、どういうことなのだろう。
音の質を落としたサンプル版を無料で提供し、ファイル交換ソフトで手に入れることができるようにする。
気に入れば、正規版を有料で提供するというビジネスモデルらしい。
ラジオでオンエアするのと同じ構造といえるのかもしれない。
エアーチェックでカセットなどに落としてとりあえず聞く。
気に入れば、レコード店に行って正規版を買う、私なんかも若い頃はそうしてレコードを手に入れたものだった。
今なら、カセットを使ってエアーチェックしても、著作権違反だの、泥棒だのと言われかねない。
カセットなら許せるが、CDRやHDDが許されないというのは、正直私はピンと来なかった。
音質が同じならCDは買わない、というのは本当なのだろうかと思う。
前にも何回も言ったと思うが、お金さえあればCDを買うのである。
CDRと正規のCDは本質的に違うのだ。
カセットに入れた音源と、レコード店で買った本盤が違うように。
私なんか仕事がらレコード会社からサンプル版が山のように届けられていた。
だが、本当にほしいのは、ちゃんと本盤を買った。
見本盤と書かれたレコードを自分のもののように扱うのは気が引けるというか。
とにかく今回の提携、今後どうなるかは定かではないが、音楽業界人としては歓迎すべきことの一つであるような気がする。
利用者を泥棒扱いするような業界では未来がないと思うからである。
ファイル交換ソフト「ウィニー」を開発して逮捕起訴された人もいる、音楽業界がファイル交換ソフトを認めるようになると、あの人が何故裁判にかけられるのか途端に不明瞭になるような気がするのだが、安部邦雄