腹をすかせた動物がいる荒野。
かって、私もここに住んでいたのだと思い出した。
昔は、こんなに皆、腹を空かせていたような記憶がない。
のんびりと草をはみ、あるいは共存共栄してガツガツしたところがなかった。
だが、今はどうだ。
目が違う。
会う度に、その光り方が違う。
虎視眈々と何かを狙っている。
そこにあるのは、飢えなのかもしれない。
Are you hungry?
そんなコマーシャルもあったなあ。
yes,yes,I'm very hungry and angry.
飢え、そして怒りに満ちた、動物たち。
私は一足進む度に、彼等の強い視線を感じる。
おまえは誰だ、今頃何しに来た。
イラクもまた、こんな感じなのかもしれない。
だが、ここは戦場ではない。
平和な日本の一つの都市である。
肩に力が入るのがわかる。
私に明日はないのかもしれない。
どこかで何らかの覚悟が必要になりそうだ。
今が夜明け前の一番暗いときなのか。
それとも、これが本当の夜に連なる第一歩なのだろうか。
毎日ひやりとすることが続いている、この気分はどうも慣れない、あえて火中に栗を拾わんとする、その意味は何なのか、安部邦雄