先日、友人が小田急デパートから買ってきた鰻を丼にして食べさせてくれました。
ごはんが少し固いなと、彼は文句を言っていましたが、鰻そのものはとても上品な味がしました。
「大阪ではマムシと言うよな。」
マムシといいますね。私の親はそう言ってました。今夜はマムシでええか?ってね。
鰻と蛇のマムシが似ているからそう言うのかなと、子供の頃はずっと思っていました。
ごはんにまぶして食べるから、まぶしがマムシになったという説明がありました。
ごはんの中に入れてまむす(蒸す)からマムシになったともいいます。
きっと蛇の語感もあって、マムシと言う言葉が一般化したのでしょう。
どうでもいいことかも。今や大阪人のほとんどはマムシなんて呼ばないから。(鰻丼ですかね、今では)
半助と言うのもこの頃あまり聞かなくなった。
鰻の頭の部分を指す。どちらかというと、余った部分で、これと焼豆腐を一緒にして煮込むとうまいらしい。
いずれにせよ、肝心な身が高くて食べられない人用なのだろう。
肝は肝吸いにするのが普通のようだ。
前の会社の同僚が新幹線で東京出張の際、いつも京都駅で下りて「萩の家」の肝の串焼きとビールを買うと言っていた。
私も彼のすすめもあり、東京出張時に何度かそうしたが、仕事の前に酒を飲むことになり、かえって疲れるような気がして、しばらくしてやめた。
串焼き自体は、少し苦いが、まあ乙な味だった。
我が家では鰻というとよく八幡巻を食べた。
これも、あまり東京ではお目にかかれない。ごぼうを鰻で巻いて蒲焼きのように焼いてある。
子供にはごぼうが少し固い気がしたが、懐かしい味の一つだ。
名前も風流。八幡(やはた=やわたと呼んでね)は京都の地名だろう。「徒然草」でおなじみの岩清水八幡宮のあるところである。
名物に八幡ごぼうというのがあるところから、八幡巻と呼ぶようになったと思われる。
違ったらゴメン。
で、明日は土用の丑の日。夏バテ防止のために鰻を食べる日として有名だ。
節分に恵方を向いて無言で太巻きを食う風習と同じようなイメージがある。
商売人に騙されているのかもしれないが。
大晦日の年越しそばなども同じかな。
春の彼岸のぼたもち、秋の彼岸のおはぎ。
冬至にはカボチャを食べる。夏至はというと、あれ?何もなかったっけ。
正月の雑煮、ひな祭りの甘酒、菱餅。端午の節句の柏餅に粽。十五夜の月見だんご。
季節のお祭りと食べ物の関係は色々と面白そうですね。
ただ、どれも廃れていきそうな行事ではあります。
せめて土用の丑の日ぐらいは残しておいてもよさそうですね。
何しろ、これから地球温暖化でますます夏は暑くなるといいますから。
鰻で夏バテを防げるのなら安いものではありませんか。
しつこいが「のれそれ」は鰻の稚魚ではないぞ、安部邦雄