国には国歌があり、学校には校歌があり、会社には社歌がある。
君が代はあまりできのいい国歌とはいえないが、アメリカの国歌「THE STAR-SPANGLED BANNER」なんか実にかっこいい。
メジャーリーグとかスーパーボウルで、有名アーチストが出てきて朗々と歌う国歌を聞いていると、本当にこの国が我々の国で、我々の自由を永遠に守ってくれているんだという実感が伝わってくる。
私も又、その国を担う一人として、愛する国土を命をかけて守るのだという気概が自然に産まれてきそうである。
国歌とはそういうものだ。
その点、君が代はどうだろうか?
スマップの中居メンバーが野球の試合開始前に君が代を歌ったとき、場内に起きた反応のほとんどが失笑に近いものだった。
確かに、君が代は歌って人に感動を与えるというような曲ではない。
荘重なイメージは残るが、伴奏以外の意味はあまりないのではないかと危惧したりする。
セレモニーで朗々と歌い上げる種類のものではないのだから、お腹に空気の入らないこと夥しい。
歌の面でもアメリカに負けている。やっぱり上が勝手に決める国歌よりも民衆が作り出した国歌の方がよくできているのは仕方がないことかもしれない。
フランスの「ラ・マルセイエーズ」もそういえばよくできていますね。
さて、「高津の宮の昔より」の話。
これは大阪市の市歌の冒頭である。
大阪市には市歌があるのだ。私も子供の頃歌わされた。
今ではあまり聞かれなくなったが、生粋の大阪人ならたいてい知っている曲である。
「高津の宮」は、「たかつのみや」と読む。
高津は普通「こうづ」と読むのだが、この場合、古事記などの文献にあわせて「たかつ」と読んでいる。
ちなみに高津神社は「こうづじんじゃ」である。上方落語の「高津の富」も「こうづ」である。
仁徳天皇が天の下しろしめした場所が高津の宮である、と古事記にはある。
例の民衆の家から竈の煙が出ていないので、民は疲弊していると思い、税の徴収を止めた、しばらくすると、民の竈から煙が出始め、「民のかまどはにぎわいにけり」と歌った故事で有名であろう。その高津の宮である。(もちろん、史実だなんて思わないように。仁徳天皇が実在した明確な根拠など何もないのだから。)
それゆえ、大阪の歴史はこの高津の宮に始まったと市歌は歌っているのである。
高津の宮の昔より、千代の栄えを重ね来て、と歌う。
最後がぐっと盛り上がる。
賑わいまさる大阪市 賑わいまさる大阪市?!
どこが賑わっとんじゃい!どこがまさっとんじゃい!
勝手に盛り上がってどうすんねん!
ま、とりあえずUSJに期待しますか。とゆうても、あれはアメリカ産の輸入品やけど。
しかし、こういう県や市の歌とか、他ではあまり聞きませんね。
東京じゃ、全く聞かない。ないことはないとは思うのだが、知っている人がいたら教えて欲しいものだ。
ついでにいうと、大阪ではやたらテーマソングが作られていて、誰でもが知っているというものが多い。
「とれとれぴちぴち、カニ料理?」のカニ道楽。「とんとんとんぼりー、道頓堀の?」の食堂ビル「どうとん」。ほぼ同じメロディの「たよし」。「行きたいな?とりぎく?」の鳥菊。「おこしやす?きらく別館、気楽なところ?」の喜楽別館。(本館はどないなったんじゃー!とよく突っ込まれていた。でも近頃噂聞かないけど、つぶれたのかなあ)
私の育った千林商店街にもちゃんとテーマソングがある。
「いち、じゅう、ひゃく、せん、千林、バラエティのまち、せんばやし。今日も楽しいショッピング、ふれあいのまち、千林、千林商店街?」
どこぞのダークダックスばりの男性コーラスグループが歌っている。
ひとことで言えば、ダサーイ、曲だ。
ことほどさように、大阪にはいろんなテーマ曲が一杯ある。
キダタローさんが「なにわのモーツァルト」と呼ばれるほど、曲を作れた土壌がここにあったわけだ。
ただし、どれも曲想が似ているので、こちらのモーツァルトはあまり着想には恵まれてはいなかったようではあるが。
とはいえ、キダさんは好き!安部邦雄