そろそろ鍋が恋しい季節ですね。
鍋の王様と言うと、何ですかね。
やはり「フグ」ですか。関西では「てっちり」といいますが、この鍋の魅力はそのバリエーションにあるのかと。
鍋を炊きながら、「てっさ(ふぐさし)」をいただき、酒はふぐのひれ酒。
火をつけて、ぼっと燃えたところでふたをする。
香ばしい味。至福の時。
鍋をいただいた後、フグ雑炊に。雑炊の王様だ。
何より、最初から最後までフグが主役。
こういう鍋って、他にないかもしれない。
カニはそれに近いか。
新鮮さが問題だが、ズワイガニの刺身は相当うまい。
横で焼きガニをしながら、鍋を突ついて、最後はカニ雑炊。
酒をカニの甲羅に入れ、カニ味噌の風味とともに飲むもよし。
ただし、花咲ガニとか毛ガニとかは、食べ方にあまりバリエーションがない。
特に、私は慣れないのか、食べ終わったら口の中がたいてい切れている。
北海道の人は、好物なのだろうが、私だったらあまり買おうとは思わないカニである。
二十歳の頃、北海道に長旅したことがある。道東のある駅の前で、おばさんがドラム缶のようなもので大量に毛ガニを茹でていた。
面白そうなので、ずっと見ていたら「ほれ、持ってけ」と言って一杯くれた。
昔は、学生に人はやさしかったなあ。
今でも只でくれる人っているのだろうか、いそうにない気がするなあ。
でも、その時も口の中をケガした。
実は、毛ガニの食べ方を知らなかったのだ。大阪の人間が毛ガニを食べること等、まだまだ珍しい頃だった。
食べ方なんか知るわけあんめえ。
そういえば、明太子を食べたのも会社に入ってから。
大学時代の友人の家に行ったら、タラちりをやっていて、ついでに食卓にあったのが明太子の入った瓶。
タラコの形をしていないから、何かわからない。
「食べてごらん、明太子というのよ。」と言われ、口に入れると、辛いのなんの。
思わず、ご飯をむしゃむしゃむしゃ。
「ヒー、からー!」
「福岡では、有名なのよ。この明太子」
激烈な明太子初体験の話。
ついでに言うと、タラちり食べたのもこの時が初めて。
あっさりしておいしかったです。
子供の頃から、我が家でよくやっていたのが、すき焼きバリエーション。
御馳走の誉れ高き、肉のすき焼きを初めとして、ハモのすき焼き。鯨のすき焼き(ハリハリ鍋)。松茸のすき焼き。カシワのすき焼き。キジのすき焼き。
ポン酢なるものがミツカンから市販されはじめると、豚の水炊き、鳥の水炊き、かきの水炊き、カニの水炊きなどが食卓にのぼるようになった。
会社に入ってからは、本当色々いただかせていただきました。
美々卯の「うどんすき」などは、少し感激。何しろ、車海老が生きたまま、座敷きの上をピョンピョン跳ねるんですからたまりません。
それを煮えた鍋に「死ねー!」と言わんばかりに投げ込む。
何て残酷な日本人といわれかねない蛮行である。
アンコウ鍋もいいですね。あんきもを最初に食べた時は心までとろけてしまいました。
ちゃんこ鍋は、バリエーションありすぎですが、大阪堂島にある「志可」は、最後にラーメンを入れるのが変わっていた。
だしにラーメンがよく合う。東京の人は、あまり評価しないかもしれないけど。
ただし、闇鍋とかいうのは、勘弁願いたい。
学生時代にはやったが、あんなのは食べ物を冒涜している。
私は食べ物で遊ぶのはどうも好きになれない。
パイ投げなんか絶対やらない。
ビールかけなんか、飲まへんのやったら全部わしにくれ!と言いたくなる。
とにかく食べ物を粗末にするのはやめましょうね。眼がつぶれても知りまへんで。
さて、今日ももうすぐ終わり。
これから、どこかで鍋でも食べようかな。
おい、そこの家来、鍋行くぞ、ついてこい!
え?猫舌やから熱いものは苦手?
おまえ、ひょっとしたらそうやって毎日断る理由ばかり考えてへんか?
明日はもう11月、とほほ模様の安部邦雄