田中真紀子外務大臣が粘っている。
外務官僚は、もうそろそろ音を上げるはずと思っているが、なかなかこの女史は倒れない。
そっちが戦う気なら、とことんやってやろうじゃないのというスタンス。
ボクシングで言うと、顔ばかり狙うからだ、もっと下からボディを狙えばいいのにと思うが、力任せで絶対勝てるはずとふんだ外務省、今やもう泥沼である。
外務省のやり方も稚拙だ。
田中外相の失策をどんどんリークしていけば、失格者の烙印を皆で押してくれて、そのうちやめてくれるだろうと考えたのである。
失点のリークだけではもちろん弱いので、政治家とも相談済み。
おそらく鈴木宗男氏あたりと、しょっちゅう次の一手などを考えているのだろうが、何しろ相手は女性。
しかも田中角栄の御令嬢なのだから、やり方にもおのずと限度がある。(その筋からのテロなども使えないし)
相手が男なら、たいてい裏をさぐれば何か問題が浮かび上がるはず。
下半身スキャンダルとか、汚職まがいの行為とか。
元自民党の代議士だった、白川勝彦氏などは交通違反のもみ消し疑惑でダメージを受けたのは記憶に新しい。
政治的に相手を倒す方法等、憲政史の中でいくらでも例がある。
そういうプロが、今の自民党の実力者などと呼ばれている人達の中にいるということだ。
そろそろ小泉首相も政治的な失脚包囲網にじわじわと迫られはじめている。
田中真紀子事件も、その中の一つにとりこみはじめているといっても過言ではない。
さて、先ほどの話に戻る。
政治の世界は、権謀術策の世界である。
相手を倒す方法はいくらでもあると私は言った。
しかし、残念ながら一つだけ、あまり例がないことがある。
それは、相手が女性の場合だ。
何しろ、女性はたいてい潔癖である。
主体的に賄賂をとろうとしたり、権力と近づいて金をしこたま儲けようなどとはあまり考えない。
それゆえ、従来のやり方では、彼女を政治的に打倒できないのは明らかなのだ。
指輪がどうとか、使用人がどうとか、どこかに立てこもったとか、人に会わなかったとか、遅刻がどうとか。
確かに、こんな人間失格の人が外相やっていいのか、という理屈は成り立つ。
じゃあ、今迄の大臣は、そんなに人格立派な人ばかりだったかというと、これがまあ、何でこんな奴が、というのが一杯いたのだ。
罷免する理由に普遍性がないのである。
確かに同時テロで混乱する時代に、田中外相では軽量だというのならまだわかる。
しかし、人格攻撃に焦点をあてた追い落とし劇では世論はついてこない。
外務省はまず、身にふる火の粉を自分で払うべきだろう。
政治家に頼んだり、過去の悪業を隠ぺいするだけでは、田中外相には勝てない。
小泉首相は絶対罷免には応じないだろう。
何故なら、この策動の延長に、自分を追い落とそうとする意図が見えかくれするからである。
身にふる火の粉は自分で払え!
官僚のせっかくいい頭脳を、もっと有意義に使ってほしい。
日本の官僚は今過渡期なのだ。その自覚を是非持っていただいて、日本の未来のために働いてもらいたいと切に思う。
くさるな!官僚諸君!
あんたに言われてもな、と言われかねない安部邦雄