行き暮れて 木の下蔭を宿とせば 花や今宵の 主人(あるじ)ならまし
薩摩守忠度(平忠度)の歌である。
読み人知らずということで、千載集に掲載したという一首。
俊成卿(藤原俊成)に別れを言いに来て、歌集を置いて行く場面は「平家物語」の圧巻の1つだろう。
さざ浪や志賀の都はあれにしを昔ながらの山ざくらかな
これも、その時に俊成卿に託した歌である。
いやあ、歌って、本当にいいものですね?、さ、御一緒に楽しみましょ。
ということで、桜の季節となりました。
このままでは、競馬の桜花賞は青い葉っぱの下で行われることでしょう。
各地で開かれる桜祭りも、桜餅でも食うしかなさそうです。
私の周りでも、急遽花見の会を3/30(土)に繰り上げますなんてメールが来たが、それでも桜が残っているかどうか。
どうも、3/23あたりが満開のような気配がする。
毎年、浜田山で花見をする会があるのだが、こちらは3/23に予定を変更したところである。
桜の頃は、本当に心が騒ぐ季節である。
世の中にたえて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし
伊勢物語の「渚の院」に出てくる業平の歌だ。
確かに、風や雨が強そうな時には、花が散らないかと気が気ではない。
明日ありと 思う心の 仇桜(あだざくら) 夜半に嵐の 吹かぬものかは
親鸞上人の御製である。
八歳で作ったというが、本当かね?
他に桜の歌というと、やっぱりこれですね。
願わくば花の下にて春死なん その如月の望月(もちづき)の頃
西行の歌ですが、激しく同意でございますね。
奈良の都の八重桜なんて、のもありますが、あんまり深みがないので、感動しません。
しかし、私の子供の頃って、こんなに桜の木が多くはなかったような。
桜の名所が人をたくさん寄せつけるということから、どこもかしこも桜並木だらけにしてしまったような。
確かに桜はきれいけど、咲いている時って1週間程度。
すぐに下は花びらだらけ、ゴミだらけ。
夏は毛虫の大発生。
秋は、枯葉だらけ、ゴミだらけ。
手入れがとても大変。
それでも、人は桜を愛でる。桜に引きつけられる。
実の1つでもつければ、もうちょっといいのにね。
七重八重花は咲けども山吹の実のひとつだになきぞかなしき
あ、これは桜じゃなくて山吹だった。
おまえ、歌道が暗いな?
へえ、角が暗いから提灯借りに来た?
って、これは落語の「道灌」のオチじゃないか。
でも、家の裏の神田川沿いって、本当に桜がきれいなんですよ、週末がとても楽しみ?安部邦雄